2011.03.01

101221-三猿追放

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110220-SIA評論「2011-2020年の世界と日本 第三回:激変する世界と歴史の流れ」

激変する世界と歴史の流れ:必要な歴史観と信念
この一ヶ月間に様々な動きがあり、国内情勢、世界情勢は激変している。こういった激動の時代に必要とされるのは日頃から培われている信念と歴史観である。正しい歴史観、哲学、人間性への理解があれば、いかなる激動も一時的波浪、小川の漣(さざなみ)であり大海に吸収される一過程に過ぎない事が解る。

先ず国内。1月27日米格付け会社スタンダード&プアーズ(S&P)が日本の長期国債の格付けを「AA(ダブルA)」から「AA−(ダブルAマイナス)」に引き下げた。更には小沢氏を巡る民主党の混乱。2月17日民主党会派離脱届を提出した16名の議員。更に2月18日の原口前総務相も政権批判。今年4月の統一地方選挙を前にして民主党関係者はあたかも泥舟を捨てるが如き動きである。

更に海外に目を転じると、民主化の波は津波の様な勢いで中東、アラブ諸国を席巻している。エジプト、中東諸国を揺るがす民主化問題の発端となったチュニジアのジャスミン革命は1月14日に政権を崩壊させた。2月11日にはエジプトムバラク大統領の辞任。両国共に昨年末の時点で、これを予測した人はほとんどいない。民主化の波である。

この一ヶ月の国内を振り返れば先月1月23日号で「夜明け前」とした状況通りの動きである。一ヶ月も経過すると情報の洪水に覆われお忘れの方も多いと思うので、1月23日の記事を引用する。

夜明け前:日本社会の閉塞感、危機感はいやが上にも高まっている。今年に入ってからも更に追い打ちを掛ける情報が明らかとなった。***(就職内定率の部分省略)***地方自治体も含めた日本政府部門の債務残高は900兆円に迫り、借入金、政府短期証券を加算すると1,100兆円を超えている。日本の国内総生産(GDP)はほぼ500兆円前後であるので、政府債務GDP比率は2倍となり実質世界一。対岸の火事と見ている財政破綻国ギリシャですら、政府債務GDP比率は1.3倍、先進国で最も高いと言われるイタリアですら1.2倍(データソース、ユーロスタット)であり、財政赤字縮小に奔走し始めた英国はわずかに0.8倍。世界でも突出した債務国である。どの数字を見てもお先真っ暗。しかも円高は進行する。***(省略)***日本の若者の内向き思考の強さが更なる危惧を呼び、悲観論を高めている。片や積極的に海外、外に向かう中国、インド、韓国。取り残される日本。実に寒々とする心象風景である。

さて国際社会のこの一ヶ月の動き。中東、アラブ諸国で広がる民主化の動き。昨年10月「101020-SIA情報:中国、北朝鮮情報と日本への教訓」で述べて来た様に、民主化の動きはやがて中国、北朝鮮の独裁体制を崩壊させるであろう。4ヶ月前のSIA評論の引用お許し願いたい。
101020-SIA情報:中国、北朝鮮情報と日本への教訓:この一ヶ月、中国、北朝鮮で新指導者を巡る動きがあった。***(省略)*** この両国の動静に日本のメディアが注目し、少なからざる時間を割いて報道し。こういった報道の情報源は、何れも中国、北朝鮮により操作された情報であり信頼は出来ない。こういった独裁国家の情報を無批判的に伝える傾向の強い日本のメディアにも責任の一端がある。
中国、北朝鮮両政府が時期を同じくして将来の新指導者を各々の自国民に印象付け、指導体制の維持と円滑な権力移行を目論んでいる現在、重要なのは中国や北朝鮮の指導者問題ではない。中国や北朝鮮の指導者問題、権力闘争は彼等の問題であるに過ぎない。日本にとって大事な事は、世界がどの様に変化し、中国、北朝鮮、その他周辺諸国がどう変化しようとも、将来に向けた自らの明確な社会、国家ビジョンを持ち、方針に基づき国内外の問題に対処する事である。***(省略)***

理念と現実の乖離が目立つ中国社会の実態「国家独占資本主義」:中国に対する日本社会、日本政府の混乱は「中国の現在の国家体制を共産主義と見るか、資本主義と見るか?」の混乱にある。**(省略)*

中国はかって共産主義者が批判して来た「国家独占資本主義」の状態にある。***(省略)***中国、北朝鮮の我田引水の共産主義者的見解から見ると、「資本主義は必然的にその競争から独占へと向かい、その醜悪なる究極的形態が国家独占資本主義である。資本家階級に生産手段も思想の自由も奪われた人民は民主的とされる手段によって改革を図る事は不可能である。」となる。***(省略)***皮肉にもマルクス、エンゲルスの信奉者が唱えて来た「資本主義国家の帝国主義化、帝国主義戦争の勃発は不可避」という言葉通りの形態を皮肉な事に両国は示し始めている。***(省略)***

第二次世界大戦後共産主義独裁政権を樹立以降日本の軍国主義化批判を展開して来た両国は自らの価値観、軍事最優先主義を日本に投影して語っていたに過ぎない。今回の中国、北朝鮮の新指導者が何れもほぼ同時期(10月18日習 近平氏、9月28日金 正恩氏)に軍の要職についた事実がこの事を明確に語っている。軍国主義国家(軍事最優先主義国家)では国内的に軍事最優先主義が浸透している。このため指導者は単なる象徴としてではなく、実務的にも軍のトップに立ち、軍を掌握せざるを得ないのである。

ここで注意願いたいのは、現在の国家独占資本主義を推し進め、軍国主義、覇権拡大・拡張主義を唱えているのは中国の国民でもなければ北朝鮮の国民でもなく、「権力と富を独占する一部独裁者とその周りで恩恵を受けている人々である」事である。現在の中国国民や北朝鮮国民の大多数は、本人達にその自覚があるか否かはさて置き、その被害者であるに過ぎない。今日本として重要な対処法は、彼ら両国民の置かれた悲惨な現実を理解し、自信を持って中国、北朝鮮に対処する事である。マルクス、エンゲルウスが共産党宣言で呼びかけ、その後長年に渡り世界の若者の正義感や理想主義を突き動かして来た様に「中国、特に北朝鮮の大多数の人民は国家独占資本主義の下、自らの生命を維持するために汲々とせざるを得ない状態」に置かれている。その維持のためのアヘンとして使われているのが愛国心である。このため日本は両国人民の本当の声を聞き対等な人間として彼等の自覚と成長を見守る事である。

上記をチュニジア、エジプトに置き換えてみればまさに瓜二つの現象が中東で勃発し、民主化革命が達成されたのである。北朝鮮が崩壊するか否かは問題ではない。北朝鮮の近い将来の崩壊は必然であり、問題は何時、どういった形で崩壊し、その崩壊過程で中国がどういった介入をするかである。北朝鮮の崩壊は中国の危機感を高め、中国共産党幹部は自らの保身と特権維持のため国家、国民を犠牲にしてでも自らの独裁政権の維持を目指すことになる。

北朝鮮指導部はチュニジア、エジプトの事例を目にして危機感を募らせ、国内民主化の動きに対して対外軍事挑発を行い、臨戦態勢を口実として徹底的弾圧を実行する可能性が高い。こういった可能性に対する日本国民、政府の認識と強い意志はあるのか? はなはだ心許無い現状である。

北朝鮮は、政権崩壊に至る突発的な事件がいつ起きても不思議ではない事態にまで状況は進んでいる。しかし中国に置いてはこういった事態が一朝一夕に訪れるとは思えない。両国共に旧東欧諸国ほどの社会の成熟もなく、独裁国家であった中東諸国ほどの言論の自由も、組織化された反政府組織も存在していない様に見える。こういった社会において自由、民主主義を求める人々が軍事圧制独裁政府に対抗して民主化を進める事が可能であろうか?今しばらくの年月を必要とすると見ている。

中東諸国の民主化には今後更なる広がりと、紆余曲折があり、楽観は許さないと思われるが、民主化は時代の必然であり、北朝鮮、ミヤンマー、中国の民主化も必ず訪れる歴史の必然である。

さて、繰返すが重要なのは日本自らの対応、決意である。中東諸国の民主化は国民自らが立ち上がり、実現しつつある。中国、北朝鮮は国民自らの動きを待つしかない。その間の日本の対応、国内経済問題に先ず触れる。国民一人一人の自発的、対応を促進させる経済政策の推進である。この欠如にこれまでの中東の停滞と北朝鮮の貧困があり、中国の今後の成長の限界、内部矛盾の拡大がある。アダムスミスが解明した民主主義、各自の自発的創意工夫にゆだねられた資本主義経済の活力を活かす施策を推進する事である。

原理原則に帰れ
経済成長の源泉は「国の介入のない経済活動」とアダムスミスが国富論(1776年出版)で解明した。アダムスミスは「国の介入を排し、社会の本来自由な個々の人々の意志と創意工夫に任せ、市場を通じた競争により経済効率を高め、生産性上昇を遂げる事が、あたかも見えざる神の手により導かれるが如く最善の道である」と社会の繁栄、経済成長の秘訣を解明した。この言葉を正しく理解すると日本の現在の状況は突然違った様相を帯びる。一部に誤解があるようであるが、彼がこういった経済学の原理を作ったのでもなければ主張したのでもない。人間の倫理、福祉、社会的公正を図るにはどうすれば良いのかを研究する過程で、彼は人間の経済活動の中に「人間の幸せ、人間社会の福祉、社会的公正を成し遂げる事の出来る要因」を発見したのである。彼は強欲な資本主義者でもなければ経済学者でもなく、倫理、道徳哲学の研究者で1759年「道徳感情論:The Theory of Moral Sentiments」を表し名声を確立した人物である。

真の人間社会の繁栄、福祉、社会的公正、幸せな生活基盤の確立は「政府の介入を排し、市場を通じた競争と絶えざる競争」の中にある事を実証したのである。この原理原則に日本は立ち返る時期に来ている。

政府の介入はなぜ悪いか?
政府が介入する事により、特定の集団が優遇され、他の集団が市場から排除される。この結果優遇された集団と阻害された集団との間に不公平を生む。政治家、政府の有力者への賄賂といった不正をもたらすだけでなく、社会全体の経済活動、富の生産を阻害する。今回チュニジア、エジプトで若者が自らの屈辱と怒りを焼身自殺で訴えたのはこの不正、賄賂の横行、不公平であった。北朝鮮はそれ以前の悲惨な状態にあるが、市場経済導入により急激な経済成長を謳歌する中国においても様々な形での政府の経済活動への介入は甚だしく、賄賂、情実が横行し、共産党・軍の権力独占が続いている。

無策の策
翻って見れば、今の日本の経済的悲観論の一論拠は「政府による経済政策の欠如、政府の指導力の欠如」である。政府が大胆な経済介入を行い、補助金その他経済活性化への大胆な施策をとり、日本の将来の経済成長に役立てるべきとの見解である。

これは、アダムスミスが解明した経済成長の要因、経済効率達成のメカニズムを否定する見解である。環境問題、先端技術を含め政府の積極的役割拡大を唱える意見は多い。その論拠は、「政府援助、助成金が先行投資として、多大な投資効果をもたらし、投入以上の社会的還元をもたらす」との考えである。これが、事実とするならば民間投資によって達成される事も可能である。

ではなぜ民間では出来ないのか? 途端に関係者は沈黙し、「民間が手を出すにはリスクが高すぎる」と答える。では国が税金を注ぎ込む事によってリスクは削減するのか? 政治(国)が介入する方が、民間より優れたより適切なプロジェクトの選択が行われるとの根拠はどこにも無いのである。国が介入する場合、費用は税金で賄われるため、プロジェクト推進当事者はプロジェクト推進により恩恵を受ける利害関係者ばかりである。当事者が利益をえる他人の金(税金)を使い行われるプロジェクトが良い結果を生むとは思われない。1980年代に始まった第三セクター方式のプロジェクトの大半が悲惨な結末となった事実が如実にその真実を語っている。これこそが政治的利権と非効率の温床であり、利権が利権を生む、悪循環の始まりである。

なぜこういった議論を行っているかと云えば、ここに日本の解決策が潜んでいるからである。しかも有難い事に日本政府の経済的リーダーシップの無さは、こういった悪循環を断ち切る結果となるからである。無策の策である。日本の財政赤字は経済への政府の介入を実質的に不可能とし、これまでの公共事業ばら撒き行政は終焉を迎えざるを得ず、日本は経済的原則に立ち戻り、国際社会に突き進まざるを得ない時代に突入しつつある。ここに日本の強さがある。

日本に欠如しているのは国民一人一人の自立心である。現在の惰弱な国民精神をもたらしたのは、安易な政府の補助金と政治だのみの公共事業中心の経済活性化策であった。こういった施策がいつしか政府補助金に頼る政治力のある財界人を育成し、自立した経済人阻害して来たのである。政府は防衛、外交、教育、弱者救済に専念し経済への無駄な介入を慎むべき時期にある。(続く、文責佐々木賢治2011年2月20日)
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佐々木 賢治
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