2011.06.14

名古屋商工会議所 那古野2011年4月号(大) 国際ビジネスのコンビニ、翻訳、通訳、語学教育のご相談は国際ビジネスのプロフェッショナルハウスSIA

名古屋商工会議所 那古野2011年4月号(大) 国際ビジネスのコンビニ、翻訳、通訳、語学教育のご相談は国際ビジネスのプロフェッショナルハウスSIA

3月11日の震災以降、SIA評論・情報を経営顧問先企業やSIA評論等年間購読者以外の方々にも、公共性を考えSIA評論等メール送信の一部を公開して来ましたが、そろそろ通常の状態に戻します。

このため、今回の「110613-SIA情報:経営的視点に欠ける日本の農業と政治への識者、学者、マスメディアの見解」を評価され、この種分析・情報配信や企業戦略等SIAの情報提供・分析、コンサルティングご希望の方は佐々木まで一報下さい。 (SIA評論等情報サービスは年間6千円より、企業顧問サービスは中小企業の場合月間3万円より、顧問契約の無い企業・団体の国際戦略・企画等のご相談は一件30万円よりお応えしています。翻訳、通訳、語学教育、各種講演会企画・講師派遣等については個別に見積致します。)


三猿追放:読めザル、聞けザル、話せザル

三猿追放:読めザル、聞けザル、話せザル

塙町乾燥椎茸の件:震災以降の皆様の協力により、お蔭様で福島県東白川郡塙町の乾燥椎茸の販売は好調で、第二回販売分(13.2キロ=126×105g)も好調で予約分も含めると既に111袋を販売し残り15袋です。協力戴ける方は追加注文も可能ですので連絡下さい。第一回目販売分を含めた累計販売はほぼ200袋販売致しました。このため今後も、現地の皆さんが希望され、又皆さんの協力がある限り第三回、四回と継続を予定しています。「福島県東白川郡塙町乾燥椎茸販売」企画は各関係者の熱意に応え、私共のノウハウの一部を利用し協力させて戴いたもので、主体は発端となった豪州出身のMr. James Wood, 塙町関係者、更には放射線検査に協力戴いた方々、私共のメールに応え販売協力を戴いた皆さんが主役であり、今後も継続できるか否かは販売しました商品の商品力(品質、価格)です。


SIAのモットー:教育方針

SIAのモットー:教育方針

110613-SIA情報:「経営的視点に欠ける日本の農業と政治への識者、学者、マスメディアの見解」

日本の農業に対する関心は高まっている。この20年、それ以前からもであるが、日本農業建て直しについて新聞、テレビ等メディアで絶えず取り上げられて来た。その決まり言葉は「?競争原理の導入、?経営規模の拡大、?マーケティング」にほぼ集約される。

その各々は確かに言葉として正しく、文章としても又発言としても間違いではない。こういった言葉が20年も30年も繰り返され誰もが、批判する事無く受け入れているとすれば、ではなぜ日本農業は衰退の一路を辿っているのか? 理由は簡単である。間違っているからである。

この20年、30年確かに徐々にではあるが競争原理が導入され、マーケティングを行い経営規模を拡大した農家はある。しかし、マスメディアに踊る学者や評論家推奨の規模の拡大を行った農家、農業法人が果たして本当に成功しているかは実に疑わしい。倒産したり、低金利の恩恵を被り借金漬けで経営を続け、補助金に依存しているのが実情ではないか?

成功したとされる規模拡大を行った農家も含め、農業の自由化が更に進むと、現状では倒産・廃業の危険性が実に高い。なぜか理由は至極簡明である。その種明かしをする前に、少し直近(6月8-10日)の日本経済新聞の記事を紹介したい。

日経新聞朝刊、経済教室欄に6月8日、9日、10日と「世界に通用する農業へ」と題し上中下と3回、三者の寄稿文が掲載された。それぞれ副題は8日(上)「農地集約、住宅地と一体で」(本間正義氏 東京大学教授)、9日(中)「経営力強化へ新規参入を」(大泉一貫氏 宮城大学副学長)、10日(下)「高品質生かし輸出に活路」(山下一仁 キャノングローバル戦略研究所研究主幹)となっている。まさに「?競争原理の導入、?経営規模の拡大、?マーケティング」通りの言葉である。しかし、この3つの記事でも、この二、三十年の多く議論同様、一番重要な生産設備価格、即ち農地価格は一切触れられていない。これでは産業、経営としての農業を語ることにはならない。

ところが、6月10日(金)付日本経済新聞朝刊7頁の左上に面白い記事があった。「地球回覧:農地に流れ込むマネー」である。

その記事を一部引用すると、「1エーカー約4、000平方メートル8千ドル、約65万円強で農地の出物があるが、興味があるか。」 返事はノー。「そんな高値で農業の採算が合うとは思えない」(米穀倉地帯イリノイ州中部の農家マイク・ローゼンバーガー氏(60歳))。「今の土地取引は私に言わせれば、正気とは思えない」とある。日本農業の問題とは、この農地価格の問題である。

因みに日本では、私の山間部の郷里(愛媛県北宇和郡鬼北町)でさえ、現在1反100万円(以前は200万円)。一反は300坪、1,000平方メートル100万円であるから正気の沙汰と思えないといわれる上記価格(千平米16万円)と比べても6倍強。6月11日開催「SIA経営フォーラム」での中国関係者の発言によると、「中国では1苗が666.7平方メートで1年間の賃料が3千円」との事。一反にすると4,500円。資本金利を5%とすれば土地代は9万円相当。10%とすれば4万5千円となり、日本の土地代の11分の一から22分の一となる。日本の農地価格は農地バブルと危惧される現在の米国の農地価格の6倍強、中国10-20倍強である。農業を行うには土地価格が高過ぎるのである。因みに1ヘクタール(1万平米:一町=10反)の米の年間収量は一期作では5千キロ。1キロ200円として100万円の売上げに過ぎない。一千万円の売上げのためには時価1億円の土地代が必要となり、農薬、肥料、機械の償却費、人件費が掛かる。しかも日本の農薬、肥料代は諸外国と比較して甚だ高い様である。幾ら低金利の時代とは言え長期資本コストを5%と考えると、完全に赤字となる。

しかし、一反100万円とは一反300坪であるから、一坪3300円。日本での農業を可能とする土地価格の採算点を一反30万円とすると坪単価千円となる。しかし現在の日本の一般宅地価格を考えると果たして、そういった価格で日本の農地が集約される時代が来るか? 読者は自宅の土地を坪千円で計算すると幾らとなるか一度計算して戴きたい。百坪で10万円に過ぎない。農地の将来住宅地への転用を考えると農地価格が大幅に下がるとは思えない。しかし、予測し難いのが将来である。山村、農村部の過疎化が更に進み、耕作放棄地が更に拡大すると、こういった事態が将来起こり得ないとは言えない。

今回は紙面に制限もあり、又一般読者に解り易くするため、農薬、化学肥料の農家購入価格の国際比較については言及を避けた。しかし、農業の主要コストである土地代、化学肥料、農薬コストを分析し国際比較すること無しには、日本の農業の未来像は識者、学者、マスメディアの言葉遊びとなり、経営は絵空事となる。

不毛の議論に覆われる政治と農業
この不毛の議論を数十年に渡り繰り返して来た日本農業への取り組みと現状は、実は現在の日本の政治を象徴する物である。日本政治の現状と将来展望に置いても税収、国債残高、国家財政の現状、優先順位を置いた財政支出と言った具体的数字に基づく地に足のついた議論が必要であるが、空理空論に流されて来た。国家ビジョンとは架空のキャンバスには虹を画く事ではない。国家ビジョンとは冷徹な現状分析、即ち冷徹な数字に基づき国家国民のために将来計画を立てる事である。その意味では6月13日の亀井氏の「今後の絵を描き切れていないのに周りがゴタゴタと言い、民主党は党の体をなしていない。いろいろな人が勝手な話をし過ぎている」との苦言は実に的を射た発言である。特にマスメディアで発言し踊る関係者、政治化、識者には品性が、沈黙する庶民には知恵と決意が必要である。

因みに戦後政治家の中で高い評価を受けている所得倍増論の池田勇人。「貧乏人は麦飯を喰え」等発言し野党の攻撃を受け、マスメディアでも糾弾された事の多い政治家であったが数字に通じていた。その池田勇人は大蔵官僚上がり。政治の天才と言われ高等教育を受ける事無く裸一貫政治の世界を駆け上がったとされる田中角栄。その政界入り前の経歴は池田勇人と対極をなす人物であるがやはり数字に通じていた。コンピューター付ブルドーザーと例えられていた。両政治家への評価は読者の判断に任せるとして、何れも大変数字に通じ国家財政にも通じた政治家であった。この点において世襲議員、小沢ガールズを問わず現在表舞台に立つ政治家とは大いに異なっている。(佐々木 賢治筆)

補足:土地を必要としない農業は上記分析の例外であるので注意されたい。具体的に云えば養鶏である。その飼料の多くを海外からの輸入飼料に依存しており、養鶏に占める土地代は限られているからである。
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佐々木 賢治
SIA Inc. Sasaki International Academy

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