2013.01.22

130122-SIA情報:130121-SIA評論:アルジェリア、国際化の現実と動揺する日本社会:ブログ版

お早うございます。SIAの佐々木です。先ず、SIAの業務案内から、本日は特急処理の翻訳は、混雑していますので顧問先企業を除き、お受けできませんので了解下さい。通常の翻訳、その他業務は通常通りです。

(今朝メールで4桁の方々に送信した物をブログに掲載します。SIA情報送信希望の方はSIA迄、住所、電話番号、氏名明記の上連絡下さい。年会費2千円です。)

アルジェリアテロ事件について、その社会性を考慮し、SIAと関係のある皆様限定で公開無料配信します。このテロ事件については1月19日第811回SIA国際フォーラム、国際コミュニケーション講座でも取り上げています。ただし第三者への転送は有料購読者を除き禁止です。この記事は、ある雑誌社に1月21日午後6時前、有料読者に午後8時53分配信した記事にカラーで着色した物です。読み易くするためPDFも添付して置きました。

ブログ版をご覧お方、個人使用のみの許可ですので引用、第三者への送信はこの頁の記載内容も含め、SIA佐々木の文書による了解無き場合は禁止です。SIA評論:有料電子メール配信評論:年間購読料6,300円:申込先SIA)




130121-SIA評論:アルジェリア、国際化の現実と動揺する日本社会

アルジェリアテロ事件の犠牲者:国際社会の一断面
今回は、1月21日午後3時現在の情報に基づきアルジェリアテロ事件の犠牲者と国際化により直結する日本社会と世界各地、国際問題について意見を纏める。今回の国際テロ事件、日本関係では日揮関係者が巻き込まれ、複数の日本人の犠牲も伝えられている。今回のこれまでの報道から見て、相当数の日本人犠牲者が生まれた事は間違いが無い。先ずは、その方々に対し黙祷である。

今後の課題はこういった事態にどう備えるかである。人と人、社会と社会、国と国、それぞれに自らの利益を優先する。理の当然である。その中で如何に人の輪を広げ、人の和を維持し、社会を安定させ協調して行くか? 国々の対立を無くし、友好関係を作って行くか?

こういった具体的な諸策となると、戦後日本を風靡した日本の平和主義者は実に心許無い存在であった。平和を願い唱えるだけで平和と繁栄が訪れるのであれば、事は簡単である。今回その国の国民がアルジェリアテロの対象となった英国、フランス、米国、日本といった国々の政府、マスコミのこの事件に対する対応を私なりに注目して見て来た。その対応振りにおいて米国と日本の対応がやはり両極にあり、日本社会の一側面を見る上で今後の参考となる。

記者会見、マスコミ報道に見る各国政府対応の相違
米国の対応は、クリントン国務長官や報道担当官の記者会見を何度か見たが、記者会見の時点に置ける情報に基づき、表明される事、公表できる事できない事が明確に示され、かつ内部的に掌握している情報について含みを持たせる発言であった。

片や日本の菅官房長官や安倍首相の発言にはそういった含みが無く、アルジェリアテロ襲撃犯の一味がこういった記者会見を追い続ける組織力と能力があれば、すっかり手の内が読まれる記者会見であった。正直なのではなく、無知であり、この問題に対する当事者意識の欠如に原因があると私は危惧している。他の英国、フランス、その他諸国は相対的に日本に近い対応発言が目立った。

ただし、米国と日本の記者会見は私自身が直接現地ニュースメディアの記者会見を見ているが、英国、フランスについては日本のメディアを通じた情報のため各国関係者の発言が、日本マスメディアにより知らず知らずの内に日本政府関係者の日本的な発言に共通する部分が誇張され報道されている可能性もある。日本のマスメディア情報に頼らざるを得ない、現地の直接情報入手が困難な我々は、現地のマスメディア情報や記者会見報道であってもこの辺を注意し分析する必要がある。特にフランスは今回の事件に名指しされた当事国であり、英国、ノルウェーもアルジェリアには歴史的にも、ガス田の採掘でも深く関わりを持っているだけに日本メディアの報道に基づく各国の対応振りについては、若干疑問の余地がある。

何れにしても日米両政府の1月16日に発生した今回のテロ事件への記者会見での対応の相違は、現在の日本政府の国際化への対応不足、ひいては日本社会、マスメディアの対応不足を如実に表している。当事者意識に満ちた米国、当事者意識欠如の日本。この背景を、私の直接経験した時代状況を描写しつつ分析する。

日米両国の相違:その背景と経験的時代状況
私が始めて海外勤務に着任したのは1977年6月。東洋水産の米国現地法人マルチャン・インクであった。それまでも東洋水産本社で企画段階の米国食品会社キャンベルスープとの合弁事業に関わり経営計画、収益見通を作成していたが、羽田を発ち、ロスアンジェルス空港に降り立ったのが初の外国経験。その後様々な経緯はあったが米国マルチャン・インクの軌道に乗るのを見届け、1982年8月から米国中西部のノートルダム大学、シカゴ大学の両大学院で経営学を学び、卒業後米国ニュージャージ州のジョンソン・アンド・ジョンソンの医薬品部門に勤務。日興證券国際金融部勤務のため帰国したのが1986年3月30日。

1973年の第一次オイルショックは日本で社会人1年目の営業部員、1979年の第二次オイルショックは米国勤務中のことである。その米国は、ベトナム戦争敗戦の後遺症を患っていた。個々の戦術上の敗北は1961年のキューバ侵攻作戦(ピッグス湾)を初め米国も経験していたが、米国歴史上実質的に初めての敗戦であっただけにその衝撃は強く、ベトナム帰還兵に対する米国社会の対応を含め垣間見る事ができた。1970年代後半-1980年代初頭に私が米国カリフォルニアで遭遇し議論した大学院生達はキューバ危機も含め、ベトナム戦争、米国史そのものに対して懐疑的な者が多かった。

当時の米国社会は、肉薄して仔細に観察すれば、戦後の日本社会との比較で大変参考になる面があった。「勝てば官軍、負ければ賊軍」とは世の東西、時代を超えた真実である事を実感したものである。この辺の経験の一部は、地元経済紙、中部経済にビジネス面に限定し連載した事があるが、他は未公表である。

米国のDNA
基本的なところで米国社会には戦後日本と大きな違いがある。事の細かい経緯はさて置き、彼らの先祖は米国原住民、奴隷解放宣言以前の黒人を除き、何れも自らの意思で米国に新天地を求めて来た人々であり、その末裔である。これが米国社会のDNAとなっている。自らは自らの力で守る。私がよく耳にした言葉は「It’s my job.」、「それは私の仕事だ」と言った意味合いである。「自らは何もせず、人の助けを期待する」というのは病人、子供、高齢者といった弱者を除き許されない行為である。自立した人間として人の好意を期待する行為は許されない。それは女性においてもしかりであり、ある意味で米国女性のケナゲサに感動したものである。それを支える理念、思想が、平等、自由主義であり、人間の尊厳、人権である。

事実、英国からの独立も独立戦争で勝ち取り、黒人達も独立宣言、憲法で謳われた平等、人権を南北戦争最中の1862年9月のリンカーンの奴隷解放宣言で手にしたとは言え、それを具体化し、現実のものとするには百年を経た公民権運動による戦いが必要であったのである。

日本の傾向
お蔭様と言う表現が日本社会を象徴的に現している。この表現自体は英語でも「I owe you」とよく使われるが、実質的意味は異なる。日本では「慎み、貢献し、努力をすればやがて周りに救われる」といった意味合いである。この違いを象徴するのが米国施政権下に作られた日本国憲法、その九条である。米国憲法は個人が自ら銃火器所有し自らの生命財産を守る事を保障している。銃器所持制限に反対の声が強い一因である。

第二次世界大戦直後の戦勝国各国間の思惑、国際情勢はあったものの、九条を主導した米国人自身が「個人にすら天与と見なされている自衛権を深く理解していた」事は間違いない。その米国が外国軍占領下にある日本に強制した憲法改正である。この矛盾に気付かない日本社会が存在する事は彼らにとって信じられない事である。国として自らの生命財産を守る自発性の欠如が、当事者意識の欠如を生み出している。

法外な要求、無理難題には断固たる対処を要求される国際社会
21世紀における国際化とは地球規模での経済の一体化である。現在の国際化は経済に主導される国際化である。国や国境の消滅ではない。国や国境を残しつつ、地球規模での経済の一体化が進めば、国際的犯罪も頻発し、国際的な経済的利害対立も日常化する。国際経済、ビジネスという同じ一つの丸い土俵上に考え方も、好みも、文化、歴史認識を異にする人々が、経済的合理性、利害を唯一の交差点として集う社会である。

回りを見回し考察すれば対立の芽はふんだんにある。この状況を利用し宗教、民族主義者が過激な行動に走る危険性が多分にある事を我々は自覚し備える必要がある。各地域社会の反体制派にとって国際社会は、体制派に一矢を報い、自らの主張を世界に訴える最高の舞台を提供するからである。これに対して当事国や地域社会体制派は他国の要請に配慮する事無く断固たる制圧を下す事が多い。今回の事件はまさにその一例である。こういった状況を踏まえると、1977年ダッカ日航機ハイジャック事件の際に福田首相が言ったとされる「人命は地球より重い」という言葉は意味を成さない。この言葉は、日本の施政権下で拉致された北朝鮮拉致被害者、及びその家族へのこれまでの対応を見る限り日本においても既に死語となって久しく、言葉の有効性を失っている事を我々は自覚する必要がある。(130121佐々木賢治)
************


SIA評論の編集方針、歴史と申し込み方法:それまでのSIA評論に対する愛読者の声に応える形で2000年に定期有料送信を始めて14年目となります。

編集方針は「今読者の反響を呼び評論よりも2,3年後に真価を発揮する評論」。地に足のついた事実情報と総合的分析力を駆使した評論がモットーです。購読者の皆様には投稿も含め協力を戴いている方もあります。

年間購読料は6,300円、そのお支払方法は、直接事務所でお支払戴くか、遠隔地の方は振込みです。しかし、犯罪防止のため振込先をホームページ、ブログ情事掲載する事はありません。申込は氏名、住所、電話番号を明記の上連絡下さい。申込の際の仮名、私書箱住所は不可となっています。


********************
国際ビジネス、語学のプロフェッショナルハウス
(株)SIA:佐々木インターナショナルアカデミー
代表 佐々木 賢治 090-6464-5526(Softbank)
〒450-0002 名古屋市中村区名駅3丁目23-6
第二千福ビル2階
052-566-5526, skype: sia_inc
Fax 052-566-5528
siabest@sun-inet.or.jp
http://www.sasaki-international-academy.com/
★ 語学教育、翻訳・通訳、国際ビジネスはSIA
********************



PHOTO

RSS2.0

login

a-blog cms