2014.04.16

140415-SIA情報:19日SIA土曜塾予告「韓国」
4月12日SIA評論:Nature小保方論文の行方
第三回 記者会見分析


4月19日のSIA土曜塾では日韓経済を結び付けるため(株)KR2を2001年創業した代表取締役 KR2経営研究所長 韓 三澤氏をお招きして韓国について講演戴きます。(講演時間18-19時半) 参加ご希望の方は連絡下さい。詳細は追って連絡します。

小保方氏論文問題を扱った4月12日号SIA評論を公開します。4月9日の記者会見の記者の質問能力、共著者の責任問題、スタップ細胞存在の可能性と作成法公開問題について分析しています。責任者の皆さん、営利企業、研究機関、非営利団体、業態を問わず冷静に第三者的視点で将来の問題に対処する目が必要です。SIAでは創業以来顧問契約先にアドバイザーとしてそういった情報、視点を提供しています。今後の組織改革、国内外業務の見直しを目指される方、佐々木まで一報下さい。(尚、SIA評論定期購読希望の方:年間購読料6,480円)

140412-SIA評論:Nature小保方論文の行方
第三回 4月9日記者会見分析
2014年4月12日講演要旨


小保方論文問題に関して4月12日急遽、SIA土曜塾:SIA経済講演会「景気は予想通りの反落と反騰−不安定化する世界経済の中で」の場で水谷研治氏講演開始前に、17時半から40分ほど講演を行ったので、その要約を報告します。

SIA評論4月10日号で既に指摘した「スタップ細胞200回作成成功」について重点的に議論し、分析報告を行なった。その本題について報告する前に「研究ノート、論文執筆、共同執筆者、論文取り下げ問題」について簡単に言及したので、この問題から最初に報告します。

研究ノート:研究ノートの未熟さ、情報欠如について大きく報道、論評されている。一部テレビメディアでは理研の研究ノートを取得(提供を受けたか?)し大々的に報じている。この件、研究ノート問題については私の尊敬する研究者数人に取材した。詳細な記録を日常的に付けているし、学生にも徹底的に指導しているという意見と、実際は違うという意見に別れた。具体的に述べると研究者の現場では研究室に埋もれていた昔やった実験等の記録を慌てて探し出す事も実際にはある。理研は官僚化、マニュアル化され過ぎているのではとの疑問を提示する研究者もいた。私見であるが、自然現象の観察等では厳密な報告と記録保持が不可欠であるが、再現可能なことを前提にする各種実験においては実際の論文発表のための資料作り、証拠作りの場合を除いては理研のノートが語る様な厳密詳細な報告、記録の保持はなされていない事も意外に多いのではないかと思う。

今回の小保方論文の「論文執筆」、「共同執筆者」について以下の通り報告。尚、Nature掲載の論文については、私やSIA関係者では小保方論文と呼称を統一している。その理由は論文取り下げに同意したとされる他の共同執筆者は全て権利を既に公然と放棄していると見なすべきであると考えるからである。

論文執筆:さて今回の2つの論文は脚注、参照等も含めると計18,000語前後となる論文である。日本語にすると約45,000字となる。400字詰め原稿用紙であれば、行間等考慮すると120枚を超える量となる。私共が脚注その他も含め日本語からこの論文の翻訳依頼を受けたとすれば、費用的にも時間的にも大変な作業となる。(期間3週間:一次翻訳、二次訳文ネイティブチェック・校正、三次最終確認、費用 60-90万円(消費税別途)) 更に英文完成後、論旨やデータ資料内容の変更等の場合は追加の時間と費用が発生する。依頼主より途中から論文論旨の変更、写真・グラフ等の変更がある事も実際にある。論文が一回拒絶され再提出等の場合は執筆者もその過程で混乱し取り違えや、間違いを犯す事例は有り得る。

共同執筆者:今回、マスコミ等を通じた理研の発表等を見ると小保方氏が一人で捏造したと表現される事が多く、それが事実ならこの膨大な論文は小保方氏一人が仕上げ、他の方々は何もしていなかった事になる。現実には、実際には何もしていない人が共同執筆者として名前が列記される事は例外では無い。今回の場合、もし小保方氏が一人でほとんどの実験を行い、この論文を仕上げていたとすると、共同執筆者には別の倫理的問題が発生する事になる。人事、ポスト競争の激しい医学部等では、大学の系列拡大のため「自らの大学関係者を他大学教授に送り込むため、その人物を筆頭人とする多くの論文を作り上げる」といった噂もよく聞く話である。かって工学部では末尾に記載された人が実際の研究を行なった人で、先頭にその研究室の教授、次いで助教授と続く事例もあったとよく言われていたし、実際に有った。

論文取り下げ:論文取り下げは、記者会見で小保方氏が述べた通り、「全面的に誤りを認める事」であり、実際にその現象が存在し、200回に渡りスタッフ細胞作成に成功しているとすれば、実験の個々の不備や、曖昧さ、不十分な点については論文修正なり、追加論文で対処すべきであると思う。これが私の理解する常識であるが、論文撤回に同意した人々、関係各氏は十分に理解した上で論文撤回を薦め、又同意されているのであると思われる。

上記の事から、小保方氏の主張、「スタッフ細胞は存在し200回作成に成功している」が正しいとすると彼らは、相談を受けた時の助言程度の行為を除いては何も今回の研究に関与していなかった事になる。少なくともその可能性が高く、論文内容について質問に曝されると自信を持った受答えが出来ない可能性がある。

「スタップ細胞200回作成成功」:いよいよ本題である。この問題について応える事の出来る資料は、当然の事であるが、私は入手していない。このため、私が、この事の真偽を論じても意味は無い。関係者を除く、他の如何なる研究者も同様である。だからこそ、SIA評論4月10日号で指摘したように記者会見場で次の質問が出されなければならなかった。

「最初にスタップ細胞に気付き、二回目の成功したのが何時か?」、「その後各種条件を変え試行錯誤したと思うが、いつ頃から安定的にスタップ細胞を作れるようになったか?」、「直近の成功率はどうか?」(SIA評論4月10日号より引用)

小保方氏の発言を嘘と決め付けるのは容易なことである。しかし、それでは学問も社会も進歩しない。このため小保方発言、「スタップ細胞は存在し、200回作成成功」が正しいとして、「なぜ再現実験が成功しないのか、作成方法が明示されないのか」について可能性を述べ皆さんの考え、判断の参考に供したい。

先ず小保方氏の記者会見での発言である。「この論文を読んだ人々がなぜ再現できないのか」との記者の質問に対して、「今回の論文は作成方法を述べたり、理論的分析を行なった物ではなく、現象を報告したものである」と述べている。事実、小保方氏の両論文が掲載された2014年1月30日号VOL 505の両論文(ARTICLE doi:10.1038/nature12968: Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency)、「LETTER doi:10.1038/nature12969: Bidirectional developmental potential in reprogrammed cells with acquired pluripotency」)を読む限り、その通りであり、この発言には嘘は無い。

ではなぜ、作成方法が明かされず、第三者の再現実験が出来ないのか? その理由、可能性について段階的に以下列記、検証して見る。

1. 実在しない

2. 実在するが、方法論が確定されていない

3. 実在し、方法論も確定されているが、一般化されていない

4. 実在し、方法論も確立し、一般化されているが、公表しない場合


1は「取り下げ」ざるを得ない。彼女の研究者の道は閉ざされる。2は「何度かやると、たまたま作成できる事がある。」という事で、今回の論文も「論文提出には早過ぎる」と断じられるであろう。3は「小保方さんには作る事ができるが、第三者には作成が難しい場合」である。この場合は「彼女の手法が、未だ一般化されず、他の人には作成できない何かが小保方さんの手法に含まれている」事になる。4は実際に有り得る話である。論文として発表すると人類の公共公有財産として特許権の取得は不可能となり権益が失われる。

私が着目しているのはこの3,4の場合である。この点を論じる前に、一言横道にそれる。今回のスタップ細胞現象は、勿論、論理的可能性として「スタップ細胞が元々ある頻度(確率的頻度)で普遍的に存在するが、処理により顕在化する?」といった別途の仮説も成り立つのではないかと思うがここでは時間的制約からこれ以上言及しない。さて本題に戻る。

3の場合、小保方氏争奪戦が始まる。この分野は非常に商業的利用価値の高い分野である。IPS細胞が多大な関心を集め、日本も国家戦略として取り組んでいるのはそのためでもある。STAP細胞は、IPS細胞と同等、あるいはそれ以上の可能性を秘めている可能性がある。多くの企業が技術秘匿のために特許申請すら控える事が実際に起こっている。特許申請はしても実際の技術については曖昧な表現に留め、その特許を読んでも作れない事理もありえる。存在するとすれば今後激烈な競争が予想されるスタップ細胞、私が当事者であればしばらくは詳細な作成法の公開は控える。以上。      (2014年4月12日SIA 佐々木賢治)

参考情報:4月9日の記者会見模様 https://www.youtube.com/watch?v=Nbr6WrhJCW4
以下は4月10日号で言及した記者の質問時間(上記ビデオ映像開始よりの時間)
1:30:00 スタッフ細胞 1:48:20 朝日 1:50:40 NHK 真正な画像が着色部分の2点はSIA評論4月10日号で指摘した評価できる質問事例
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