2005.11.24

ドイツシュツッツガルト大学加藤準治氏(2010年2月博士号取得)

ドイツシュツッツガルト大学加藤準治氏(2010年2月博士号取得)

姉歯設計事務所の強度設計偽造問題について、ドイツのシュツッツガルト工科大学博士課程で設計を学んでいる加藤 準治氏より一報が参りましたので報告します。加藤氏はかって日本で元請の設計会社に勤務し、橋梁設計を初め様々な設計に従事した30代前半の技術者です。2002年9月よりシュツッツガルト工科大学大学院に留学中です。(加藤氏の報告に読みやすくするため、佐々木が一部修正していますが大意は変えていません。)

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ドイツ在の加藤です。表記の件、元請の設計会社にて勤務した経験のある私には非常に身近で関心のある問題です。あくまで、個人的な見解で限れらた経験、情報であることを重々承知の上、報告致します。加藤 準治
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「姉歯設計事務所の強度設計偽造問題」

一番許し難いのは、無論、人命を無視した計算書の偽造ですが、この問題は非常に奥が深いと感じざるをえません。

そもそも、設計は、学識経験者によって編集された『設計基準』をもとに行われます。設計基準は、戦後復興時、「誰が設計しても安全で確実なものができる」ことを目的に制定され、(i)安全性,確実性、(ii)経済性、(iii)一般技術者の知識の底上げという面では大きな効果がありました。 反面、?技術者の創意工夫の欠如、?景観性の欠如(同じ形のものばかりができてしまう)などの問題も生み出されました。

それまでは比較的に簡単に理解できるレベルであった設計基準は、阪神大震災以降、(マニアティックともいえるほど)高度な技術が盛り込まれ、相当なエネルギーをもって取り掛からないと理解できないものへと変貌してしまいした。更にその後、数年ごとに改定され、一般の技術者には「追いつくのがやっと」、或いは、「下請けに丸投げして、必要なところだけを理解し、役所に説明する」ということも多々あります。

更に深刻なのは、役所においても信じられいほど技術の空洞化が進んでおり(もちろん優れた技術者もいますが)、民間に設計照査を委託しないとどうにもならないというのが現実です。今や現実の「設計基準」が民間技術者にも(にわか)ブラックボックス、役所にもブラックボックスの様な事態となっています。最後の頼みは、「安くて早い」かつ「技術に信頼がおける優れた下請け会社」となっています。

一方、経験豊富な設計者や現場技術者からは、現場のことを何も知らない先生方が机上で作った「設計基準」だと言う批判もでています。というのは、「設計基準」に準じて設計すると、非現実的な補強が必要となり、現場で施工できないといったことも「設計基準」の改定当初はよくみらたからです。

一方、「設計基準」の最新技術情報の入手という面でも構造的な問題があります。大手企業の担当技術者は比較的入手しやすい環境にありますが、零細企業では必ずしも容易ではありません。構造計算をチェックする設計事務所は一般に規模も小さく零細企業です。この結果、設計事務所自体が最新技術情報の知識に乏しい事も現実には発生しています。

マスコミでは、とかく技術者の倫理面ばかりが強調されていますが、コスト縮減、短期施工をうたい文句に発注者側がどんどん契約額を減らし、このような理不尽な契約体系のもとで苦闘している設計,現場技術者の苦労を考えると、今回の事件を当設計事務所だけの責任にするにはあまりにも無理があると考えます。(無論、偽造は許されるものではありませんが。)

高度化した技術社会の中で、特に若手技術者が今後どのように健全に成長できるのか、空洞化を避けるために大学側ができること、建設発注、照査システムのあり方、また、横江先生の指摘される過度な「経済性最重要視型」のシステム。。。非常に複雑な問題だと思います。

今回の事件を契機に、そもそものシステムのあり方を議論し始める動きが出て来たことはとても印象的です。日本人は、「腰は重いが動き出すと極めて早い」というのが私の個人的な見方ですが、その波に乗って健全な方向に進んで行くことを切に願っております。
(加藤準治 ドイツ国 シュツッツガルト工科大学大学院博士課程在学中
Junji Kato, MSc.  Institut fuer Baustatik, Universitaet Stuttgart)
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佐々木 賢治 シカゴ大学MBA
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