2008.10.01

080930SIA評論:米国金融危機、健全な米国国民意識:9月29日米国下院の金融安定化法案否決

(2007年7月以来、SIA会員に再三米国金融危機の深刻さについて論評して参りましたが、9月30日発信の情報を公開します。)

米下院が9月29日最大7000億ドル(約75兆円)の金融安定化法案を否決した。法案の議決を見ると反対228票、賛成205票、意外な大差と見る向きもある。この結果、昨日9月29日の米国のニューヨーク証券取引所は大幅な下落となり(-777.68)、本日の東京証券取引所、アジアの各市場も下げた。

しかし、否決に至った背景には、ある意味で米国民主主義の強さ、又米国銀行制度の成熟、健全な自己責任主義の米国の国民意識がある。

なぜ、下院が否決したか、その理由、背景を理解する事無しに上記結論を理解戴く事は不可能であるので、以下私の分析を述べる。11月4日の大統領選挙投票日は、下院の選挙日でもある。米国の選挙制度では西暦年の4の整数倍の年の11月1日を除く第一火曜日が大統領選挙投票日であり、上院は1/3の選挙区で選挙が行われ、下院は全選挙区で選挙が実施される。下院の任期は2年であるため、2年後中間選挙で又全員が選挙の洗礼を受ける事になる。選挙日まで残す所5週間。各下院議員は選挙民の意識に極めて敏感である。

多くの米国民が、現在の米国金融機関への救済策に不信感を持っている証である。この民意に敏感な議員意識が共和党、民主党の指導部が合意に漕ぎ着けた法案に反旗を翻したのである。ではなぜ、民意はこの救済法案に不信感を抱いているかである。

簡潔明瞭にいえば、「金融取引という博打場で相場を張り、いい目が出て勝てばその利益を我が物とし、悪い目が出て負ければ膨大な政府資金投入による救済」という、イカサマ的なマネーゲームに不信感を強めて来たからである。1997年のLTCM(Long-Term Capital Management)社の救済劇、2008年3月のBear Sterns救済劇にアメリカの一般市民が反旗を翻したのである。こういった、正しい経済意識を前に、リーマンブラザーズを救済する事は米国政府、金融当局には不可能であったのである。その後の幾つかの貯蓄銀行の倒産の危機を前に米国の国民意識の変化を期待し、米国政府や通貨当局は金融制度の持つ重要性を強調する事により、世論を動かし解決を図ろうとして来たが9月29日には敗北したのである。一部の経済学者や金融の専門家が常々警告し危惧して来た様に、安易な救済策、金利政策がこれまで一本調子のニューヨーク株式市場株の株価上昇と不動産価格の上昇を招き、更に今回安易な救済を実行すると問題を先延ばしにするだけで、将来に一層の禍根を残すとの危惧を経験的に庶民が共有したのである。

米国においては、銀行も民間企業として、競争の嵐にさらされるのは当然といった賢明な経済的知識が浸透している。非効率な経営を行う金融機関は倒産し、市場から退場すべきとの認識が、日本に比べ強い。これは米国の健全さを示している。又制度として米国では非効率な銀行を救済するのではなく、銀行預金者を、銀行の倒産から生じる被害から救済する事に重点が置かれ、そのための預金保険制度もFDIC(Federal Deposit Insurance Corporation; FDIC:連邦預金保険公社)として1933年設立以来整備、運用されて来ている。実際に、米国の貯蓄金融機関等でFDICの保険が保障する上限金額(100,000米国ドル)をテレビコマーシャル等でもハッキリと謳う程徹底している。(このFDICについて更に知りたい方は次のホームページをご覧になると良い。http://www.fdic.gov/)

「金融機関、金融システムへの信用の維持が人体に喩えれば、血液の循環システムの様に、米国経済の健全性維持、世界経済の維持に必要不可欠である。このため、規模の大きな金融機関は救済すべきという議論は、冷静に考えれば、自由主義経済の下、代替する金融機関が十二分に育ち、又預金者の保護が十分に図られている社会、経済制度にあっては実にマヤカシに過ぎない。」と、多くの米国人は見ている事を9月14日以来の米国の2週間の動きは伝えている。(080930SIA評論:文責佐々木 賢治)

ご参考:SIA評論は有料購読者を対象に電子メールで発疹している情報です。今回は参考に公開致します。定期購読ご希望の方はSIA迄一報下さい。(年会費五千円です。)



2008.09.15

080914SIA評論:「非常識なテレビコマーシャル」と「金正日の健康問題と北朝鮮」

9月13日3時からのSIA時事英語討論、及び午後5時からの緊急講演会「金正日の健康問題と北朝鮮:日本は如何に対処すべきか」で指摘された問題についてそれぞれ一点に絞り参考に報告します。

通常は、こういった形のメールは発送していませんが、一部の参加者、及びSIA評論受信会員の提言により送ります。ご意見がありましたらお知らせ下さい。尚、ご質問にはSIA会員以外には回答出来ませんので、了解下さい。又(2)北朝鮮問題については現時点では誤字脱字等の問題を除き、講演者との取り決めにより回答出来ませんので了解下さい。

現代日本社会の国民意識から見て、「非常識なテレビコマーシャル」と「金正日の健康問題と北朝鮮」について簡単な要約です。

(1)「非常識なテレビコマーシャル」(時事英語討論より)

ツタヤのコマーシャルはセクハラを奨励するかの如きコマーシャルで、これが何ら世間の批判を浴びることなく、この時代になぜ継続的に放映されているのか不可思議。ツタヤの企業意識は勿論の事、テレビ局の放映基準もはなはだ問題である。もっとも性の公的な場での商業的露出過剰は民放の各種番組を見ても日常的な現象となっているので、不感症となっているのかも知れない。ツタヤのホームページ(http://www.discas.net/netdvd/showServiceGuide.do )に、TVコマーシャル中と見出し付で動画が出ている。ホームページ上では許されるかもかも知れないが、テレビコマーシャルとなると別である。その内容もテレビではもっと露骨であり不快に思う人は多い。

(2) 「金正日の健康問題と北朝鮮:日本は如何に対処すべきか」

この問題については、以下の講演、質疑後の講演者の了解を得た部分のみの要約である。

*****************************
2008年9月13日(土)午後5−6時半 日本の安全保障、外交問題の臨時学習会、「金正日の健康問題と北朝鮮:日本は如何に対処すべきか」(講演者 宇田司郎氏)の講演要約。

既に4年前、2004年の米国大統領選挙の第一回目の9月30日の全米向けテレビ公開討論会の場で、民主党のケリー候補はブッシュ政権の北朝鮮に対する対応の拙さを批判した。ブッシュ政権の対応の遅れにより北朝鮮は既に核を4-7発持っていると具体的数字まで挙げて指摘したのである。これに対してブッシュ大統領は、又その後も共和党側からは何らの反論も批判もなされなかった。米国政治の選挙戦中の対処法、対応傾向から見て、「北朝鮮の核保有」は既に米国の政権中枢にあり、機密情報に触れる関係者間では周知の事実であると判断せざるを得なかった。

厳しい現実に目を背ける事によって現実を逃避し、空想の世界に逃避する稚児に類する行為を日本社会は戦後続けて来た。未だこの傾向が核問題について、日本の安全保障問題について続いている。核開発は既に陳腐化した技術であり、誰にでも製造可能な技術である事を先ず認識する必要がある。そもそも核技術は開発以来60有余年を経た技術である。米国のルーズベルト大統領の決定によるマンハッタン計画の産物である核爆弾は1945年7月に完成し、実験され、8月の広島、長崎に対して実戦使用された。以来、既に63年を経過した旧式技術である。このため現在では、いかなる国でも生産し保持する事が技術的には可能である。こういった核の現実と脅威に対して被爆国である日本が何らの対応をしないという事は、信じられない現象であると私の諸外国の多くの知人は独白している。特に英仏の友人の中には「自国英仏の経験に照らしても、自国為政者が日本の為政者と同様な対応をする」としたら、許し難いという事すら述べる人々もいる。

今、北朝鮮の独裁政権が崩壊の危機に瀕しているとの噂が一部にある中、現状をどの様に捉え、日本はどう対処すべきか、又日本政府の対応は何処まで進んでいるのかについて上記も含め、宇田司郎氏の基調講演の要点は以下の点であったと記憶している。

金正日の健康問題についてはいろいろな情報が飛び交っている。この情報に振り回される必要はない。なぜなら、本当の病状を米国、韓国、日本、中国、ロシアの各国諜報機関が正確に捉えていたとしても、こういった筋が情報を公にする事は一般的にあり得ない。重要機密であればあるほど、その情報を知っている事自体重要機密であるからである。

この金正日の健康問題については、間接的な形で年内に明らかになる。深刻な状態であれば、遠からず年内には後継指名、あるいは集団指導体制への移行といった形を採るであろう。年内にこういった体制が明確にならない場合は、そういった次世代への政権引き継ぎが図れないほど北朝鮮政権内部が混乱を来しているか、北朝鮮国民への公示差し控えざるを得ない何らかの事情を内部に抱えているか、少なくとも政権中枢の決定権を握っている人物がその様に考えている証左である。

金正日の健康問題がこれほどの話題を集める事自体、現在の北朝鮮の脆弱さの証であり、西側諸国の希望的観測も含め、絶えず金正日の健康不安説がささやかれて久しい。1994年7月8日の金日成の突然の死以来、日常的な健康不安説が流布されているが、北朝鮮の置かれている政治状況を考えると、金正日がその後14年を超えて政権を維持している事実を考えると、彼の孤独な指導者としての精神的スタミナは比類無きものといってよい。特に最近日本で二代続いた安倍、福田首相の突然の辞任を考えれば明白である。日本の二世議員の比ではなく、あっぱれと言ってよい。

現在、北朝鮮問題を考える際にもっとも賢明な対処法は、自らを金正日の立場に置いて考える事である。金正日は実に賢く、精神的スタミナに富み、かつ政治的に実に注意深い人間である。だからこそ金正日は自ら、「金正日の置かれている状況は、自らが天寿を全う出来る状況には無い」事を誰よりも知っている。ましてや政権を無事に自らの子息に混乱無く継承する事が如何に困難な技であるかも熟知している。この孤独の中に、14年に堪えているのが金正日である。韓国との融合は、如何に太陽政策の下であれ、身の破滅、一族の破滅、現政権を支えてきた党、軍幹部の破滅、抹殺となる事はこれまでの朝鮮の歴史に照らして見ても明らかである。

この現実の中14年間、金正日は北朝鮮を掌握し、米国を相手にひたすら外交カードを切って来た男である。ぎりぎりの命を張った交渉であった。その過程にあって、少しでも弱みを見せれば、瞬く間に内部から政権は崩壊し、ルーマニアのチャウシェスクを遥かに超える過酷な運命が彼の面前に待ち受けている。

こういった、現実を踏まえて行く時、限られた北朝鮮の選択肢、対処法が自ら見えて来る。(省略)

こういった北朝鮮の選択肢を見据える時、自ら日本の対処法も明らかとなる。******* この現実を見据えることなくして北朝鮮との交渉は出来ないし、この現実を押さえ日本は硬軟取り混ぜた外交で対処すべきである。(省略) ここ数年の日本国内の様々な動きを見ると、「北朝鮮に絡む偶発的軍事的脅威を日本政府中枢の関係者が相当に抱いている事を伺わせる証左」を幾つか上げる事は、意外にも皆さんが公知の事実でからでも容易である。(省略)

1.中国と北朝鮮の関係(内容省略)、どう転んでも損をする中国
2.韓国、北朝鮮問題(内容省略)、韓国の建前と本音
3.米国と北朝鮮の関係(内容省略)
4.日朝関係(内容省略)、意外に深い利害関係とパイプ
5.日本人拉致被害者問題(省略)、国内にいる協力者と犯罪組織
6.北朝鮮が現在一番信頼している国は何処か(内容省略)

最後に、提言を持って締めくくると、日本は、人道的見地からいろいろな批判は招くであろうし、又北朝鮮側が公には容認出来ないであろうが、秘密裏に何らかのルート手段(省略)により日本の持つ最高の医療技術を提供し、治療に協力するのも一方である。080914SIA評論:「非常識なテレビコマーシャル」と「金正日の健康問題と北朝鮮」

9月14日3時からのSIA時事英語討論、及び午後5時からの緊急講演会「金正日の健康問題と北朝鮮:日本は如何に対処すべきか」で指摘された問題についてそれぞれ一点に絞り参考に報告します。

通常は、こういった形のメールは発送していませんが、一部の参加者、及びSIA評論受信会員の提言により送ります。ご意見がありましたらお知らせ下さい。尚、ご質問にはSIA会員以外には回答出来ませんので、了解下さい。又(2)北朝鮮問題については現時点では誤字脱字等の問題を除き、講演者との取り決めにより回答出来ませんので了解下さい。

現代日本社会の国民意識から見て、「非常識なテレビコマーシャル」と「金正日の健康問題と北朝鮮」について簡単な要約です。

(1)「非常識なテレビコマーシャル」(時事英語討論より)
(ツタヤ:http://www.discas.net/netdvd/showServiceGuide.do )

ツタヤのコマーシャルはセクハラを奨励するかの如きコマーシャルで、これが何ら世間の批判を浴びることなく、この時代になぜ継続的に放映されているのか不可思議。ツタヤの企業意識は勿論の事、テレビ局の放映基準もはなはだ問題である。もっとも性の公的な場での商業的露出過剰は民放の各種番組を見ても日常的な現象となっているので、不感症となっているのかも知れない。ツタヤのホームページに、TVコマーシャル中と見出し付で動画が出ている。ホームページ上では許されるかもかも知れないが、テレビコマーシャルとなると別である。その内容もテレビではもっと露骨であり不快に思う人は多い。

(2) 「金正日の健康問題と北朝鮮:日本は如何に対処すべきか」

この問題については、以下の講演、質疑後の講演者の了解を得た部分のみの要約である。

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2008年9月13日(土)午後5−6時半 日本の安全保障、外交問題の臨時学習会、「金正日の健康問題と北朝鮮:日本は如何に対処すべきか」(講演者 宇田司郎氏)の講演要約。

既に4年前、2004年の米国大統領選挙の第一回目の9月末の公開討論会の場で、民主党のケリー候補はブッシュ政権の北朝鮮に対する対応の拙さを批判した。ブッシュ政権の対応の遅れにより北朝鮮は既に核を4-7発持っていると具体的数字まで挙げて指摘したのである。これに対してブッシュ大統領は、又その後も共和党側からは何らの反論も批判もなされなかった。米国政治の選挙戦中の対処法、対応傾向から見て、「北朝鮮の核保有」は既に米国の政権中枢にあり、機密情報に触れる関係者間では周知の事実であると判断せざるを得なかった。

厳しい現実の目を背ける事によって現実を逃避し、空想の世界に逃避する稚児に類する行為を日本社会は戦後続けて来た。未だこの傾向が核問題について、日本の安全保障問題について続いている。核開発は既に陳腐化した技術であり、誰にでも製造可能な技術である事を先ず認識する必要がある。そもそも核技術は開発以来60有余年を経た技術である。米国のルーズベルト大統領決定によるマンハッタン計画の産物である核爆弾は1945年7月に完成し、実験され、8月の広島、長崎に対して実戦使用されて以来、既に63年を経過した旧式技術である。このため現在では、いかなる国でも生産し保持する事が技術的には可能である。こういった核の現実と脅威に対して被爆国である日本は何らの対応をしないという事は、信じられない現象であると私の諸外国の多くの知人は独白している。特に英仏の友人の中には「自国英仏の経験に照らしても、自国為政者が日本の為政者と同様な対応をする」としたら、許し難いという事すら述べる人々もいる。

今、北朝鮮の独裁政権が崩壊の危機に瀕しているとの噂が一部にある中、現状をどの様に捉え、日本はどう対処すべきか、又日本政府の対応は何処まで進んでいるのかについて上記も含め、宇田司郎氏の基調講演の要点は以下の点であったと記憶している。

金正日の健康問題についてはいろいろな情報が飛び交っている。この情報に振り回される必要はない。なぜなら、本当の病状を米国、韓国、日本、中国、ロシアの各国諜報機関が正確に捉えていたとしても、こういった筋が情報を公にする事は一般的にあり得ない。重要機密であればあるほど、その情報を知っている事自体重要機密であるからである。

この金正日の健康問題については、間接的な形で年内に明らかになる。深刻な状態であれば、遠からず年内には後継指名、あるいは集団指導体制への移行といった形を採るであろう。年内にこういった体制が明確にならない場合は、そういった次世代への政権引き継ぎが図れないほど北朝鮮政権内部で混乱を来しているか、北朝鮮国民への公示差し控えざるを得ない何らかの事情を内部に抱えているか、少なくとも政権中枢の決定権を握っている人物がその様に考えている証左である。

金正日の健康問題がこれほどの話題を集める事自体、現在の北朝鮮の脆弱さの証であり、西側諸国の希望的観測も含め、絶えず金正日の健康不安説がささやかれて久しい。1994年7月8日の金日成の突然の死以来、日常的な健康不安説が流布されているが、北朝鮮の置かれている政治状況を考えると、その後14年を超えて政権を維持している事実を考えると、孤独な指導者としての精神的スタミナは比類無きものといってよい。特に最近日本で二代続いた安倍、福田首相の突然の辞任を考えれば明白である。日本の二世議員の比ではなく、あっぱれと言ってよい。

現在、北朝鮮問題を考える際にもっとも賢明な対処法は、自らを金正日の立場に置いて考える事である。金正日は実に賢く、精神的スタミナに富み、かつ政治的に実に注意深い人間である。だからこそ金正日は自ら、「金正日の置かれている状況は、自らが天寿を全う出来る状況には無い」事を誰よりも知っている。ましてや政権を無事に自らの子息に混乱無く継承する事が如何に困難な技であるかも熟知している。この孤独の中に、14年に堪えているのが金正日である。韓国との融合は、如何に太陽政策の下であれ、身の破滅、一族の破滅、現政権を支えてきた党、軍幹部の破滅、抹殺となる事はこれまでの朝鮮の歴史に照らして見ても明らかである。

この現実の中14年間、金正日は北朝鮮を掌握し、米国を相手にひたすら外交カードを切って来た男である。ぎりぎりの命を張った交渉であった。その過程にあって、少しでも弱みを見せれば、瞬く間に内部から政権は崩壊し、ルーマニアのチャウシェスクを遥かに超える過酷な運命が彼の面前に待ち受けている。

こういった、現実を踏まえて行く時、限られた北朝鮮の選択肢、対処法が自ら見えて来る。(省略)

こういった北朝鮮の選択肢を見据える時、自ら日本の対処法も明らかとなる。******* この現実を見据えることなくして北朝鮮との交渉は出来ないし、この現実を押さえ日本は硬軟取り混ぜた外交で対処すべきである。(省略) ここ数年の日本国内の様々な動きを見ると、「北朝鮮に絡む偶発的軍事的脅威を日本政府中枢の関係者が相当に抱いている事を伺わせる証左」を幾つか上げる事は、意外にも皆さんが公知の事実でからでも容易である。(省略)

1.中国と北朝鮮の関係(内容省略)、どう転んでも損をする中国
2.韓国、北朝鮮問題(内容省略)、韓国の建前と本音
3.米国と北朝鮮の関係(内容省略)
4.日朝関係(内容省略)、意外に深い利害関係とパイプ
5.日本人拉致被害者問題(省略)、国内にいる協力者と犯罪組織
6.北朝鮮が現在一番信頼している国は何処か(内容省略)

最後に、提言を持って締めくくると、日本は、人道的見地からいろいろな批判は招くであろうし、又北朝鮮側が公には容認出来ないであろうが、秘密裏に何らかのルート手段(省略)により日本の持つ最高の医療技術を提供し、治療に協力するのも一方である。(以上、宇田氏司郎氏の発言要約。)
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(SIA評論文責 佐々木賢治)



2008.05.06

080506SIA評論:オバマ、クリントンの米国大統領予備選挙とガソリン税
2008年5月6日午後10時50分配信

今回の民主党大統領選挙予備選、ノースカロライナ、インディアナ両州の選挙は共に接戦が伝えられているが、私は長年の米国政治を見て来た私なりの経験から決着がついたと見ている。オバマ氏の勝利である。

実際の所は、現地5月5日現在の各種米国世論調査機関の予想でも未だに接戦であり、インディアナ州はクリントン上院議員が若干優勢、ノースカロライナはオバマ氏有利との見方が多数である。それにもかかわらず、5月6日の予備選挙はオバマ氏の民主党予備選挙勝利を確定する一歩となると確信するのは、ガソリン税についての各候補の主張とそれを巡る有権者、経済学者の発言、マスメディア報道からの判断である。

共和党のマケイン候補、ヒラリー・クリントン候補は何れも、一時的なガソリン税の引き下げを提唱している。それに対して、そういった有権者に迎合するような一時的な施策では国民のためにならないと論陣を張っているのがオバマ候補である。各候補の個々の議論、マスメディアとの質疑における発言演説は枝葉末節となるので、ここでは引用する必要もなければ、意味もないので割愛する。

ガソリン税の問題は日米の有権者の意識と経済的な知識を判断する良い試金石ともなり、日本の政治、有権者、経済学者、マスメディアを考察する上でも大変示唆に富むので、現在一文を纏めている次第である。

現在の原油高の一番の原因は需給関係である。マイクロ経済学を学んでいれば基礎とも言える原油需要の増大による価格の高騰に、米国ドル安が加わり、ついにスポット価格が120ドルを超える原油高を招来したのである。この問題を経済的に見る場合(経済学的見地、及び実質的な国民利益を考慮する場合)問題点は2つである。一つは既に述べた需給関係による価格決定メカニズムであり、二つ目は原油輸出国と輸入国との間の原油価格の取り分である。原油輸出国と輸入国間の原油価格の取り分と聞くと、戸惑われる方も一部にいると思う。しかし分かり易く言えば輸入課徴金は輸入国の取り分であるので、ご理解戴けると思う。

生産量は、基本的にOPECを初めとする原油輸出国の政策で規制されている現状では、価格政策によって需要を減らす以外には原油価格を下げる手段は無い。大方の原油大量輸入国は、民主主義政治を遵奉し、自由主義経済体制を採っている。方や、多くの原油輸出国は、王政や社会主義的な全体主義的経済制度による国家的な統制の下で原油生産が行われている。しかも原油輸出国に潤沢な資金が流れ込んでいるので、現在原油増産は期待できない。このため原油価格を引き下げるには需要を引き下げるしか手段が無い。最終的な消費者段階での価格上昇を通じてしか、需要減少といった経済メカニズムは働かず、このメカニズムを通じてしか原油価格の低下は図り得ない事は、単純明快な事実である。しかも、世界貿易促進を図るWTOを初めとする様々な世界的な取り決めや、2国間協定があるため輸入課徴金制度は不可能であり、有効性に欠ける。しかし、国内政策において、国内産、海外産を問わず課す事の出来るガソリン税は、各国の自由裁量である。この自由裁量権を使い最終的な国内の消費価格を高くし、よって需要を削減し、原油価格削減を実現する事は、産油国からの輸入国への原油価格収入の移転であり、世界の原油輸入国が一致して取るべき政策であり、この引き上げたガソリン税によって生まれた税金を如何に有効に国民の福祉のために使うかが政治の果たすべき役割である。

こういったガソリン税引き上げ策は、同時に連日日本のマスコミを熱狂させている環境対策、二酸化炭素削減にも繋がり、一石二鳥、三鳥の政策である。日本国内において4月に起こったガソリン税の問題は未だ記憶に新しいが、この時、こういった基本的な議論が行われたとは思えない。いろいろなマスメディアの報道も井戸端会議の域を出なかった。日本の民主党は有権者の人気取りに走り、一方自民党は道路族の利権確保に狂奔し、その正当化のため地方の財源、道路整備の必要性だけを叫んでいた感が拭えない。

さてアメリカである。ABC、PBSといったアメリカのメージャーなメディアは、そのニュース番組で経済学的な視点から見た実質的な効果を鋭く突き、マケイン氏やヒラリー・クリントン氏に問い質している。勿論、オバマ氏は、一時的なガソリン税引き下げ政策をギミック(だまし)として、厳しく追求している。多くの経済学者も積極的にこの問題については発言し、ヒラリー・クリントン氏の政策を支持する経済学者は皆無と言える。ニューヨークタイムズを初めとする米国の新聞も、これまで有力なヒラリー・クリント氏のブレーンであった、経済学者のヒラリー氏への失望と批判の記事を掲載している。

今回のガソリン税を巡る一連の騒動により、オバマ氏は米国のメインストリーム(伝統的な主流派)の評価を受け、ヒラリー氏はそれを失ったと私は判断している。5月6日の選挙が一勝一敗に終わっても、この流れは崩れず、ヒラリー氏は経験を誇って来たが、その経験とは大統領夫人としての縁故による経験に過ぎなかった事を改めて印象づける事になったと私は判断している。(文責 佐々木 賢治)



2008.04.23

080422-SIA評論:光市母子殺害事件判決、中国政府のチベット問題への対応、米国大統領予備選挙

光市母子殺害事件判決
本日、2008年4月22日、光市の母子殺害事件の判決が下った。死刑判決であった。殺害した犯人が犯行当時18歳になったばかりであったという事もあり、いろいろと物議を呼んだ事件であった。

特に今回の事件は、来年5月スタートの裁判員制度や最近話題となっている「被害者参加制度」もあり、多くの国民が身近に感じ、関心を持って見守った判決であった事は間違いがないと思う。犯罪の凶悪さ、犯人の年齢、又家庭環境といった、様々な要素を考える時、一審、二審共に、死刑を求刑しなかった法的判断も理解できる。厳罰を望む国民意識も十分に理解できる。所詮、法律とは最終的には国民の多数の支持無くしては、成り立たない物である。

今回の、死刑判決を圧倒的多数の国民は支持していると思う。私も、一部の迷いを抱きつつも死刑判決を支持する一人である。この迷いは、多分多くの国民が共有し、遺族の方もその迷いは理解戴ける事と思う。

それにもかかわらず、私も含めた圧倒的多数の国民が、結論として迷うことなく死刑判決を支持する気持ちとさせたのは弁護団の荒唐無稽ともいえる、論法であり、その弁護方針に従ってなされたと思える犯人の裁判所での答弁である。今回の差戻裁判が始まるまでは一部迷いを抱いていた国民が、積極的に今回の判決を受け入れる状況を作ったのは、安田好弘氏を中心とする21人からなる大弁護団の弁護方針であった。その主張は、マスコミを通じて入手する限りでは、「母恋しさ、寂しさから抱き付き結果的に殺害となった。更に死姦行為は復活への儀式であり、幼女殺害行為は泣き止ますために首に蝶々結びをしただけ」となる。

実に、愚かな論法であり、この論法以外に今回の犯人を死刑から免れさせる理論組み立てが出来なかったとすれば、狭隘なる法理論に走る余りに民主主義社会の法の基本的精神である国民の納得の行く、理論的、かつ緻密な法解釈といった精神をないがしろにした論法、法律家の傲慢の結果と言える。

同様な、それ以上に強引、傲慢な論法を理路整然と行っている海外の事例を以下2つ紹介したい。一つは元々民主主義など存在しない一党独裁政権国家、中国と世界の民主主義の模範といえる米国に事例である。

中国政府のチベット問題への対応
中国政府の報道官の発表、及び私が垣間見る中国テレビ報道(CCTV)等は実に面白い。世界各国では白日の下にさらされている事実、チベットの弾圧と、自治と民主化を求めるチベット自治区の行為を全て、ダライラマによる国家転覆を目指す陰謀説で実に整然と発表し、報道している。



2007.10.30

Novaの会社更生法申請とSIAの所見

ご存知の通り先週末Novaの経営がついに行き詰まり倒産状態(10月26日会社更生法申請)に至りました。今回のNovaの事件は、単に経営的な行き詰まりでだけではなく、Novaに代表される、無責任な誇大広告で固められた英会話偏重教育の破綻の表れであると理解しています。(現在のこういった風潮は一般の義務教育、学校教育の場にも浸透し弊害をもたらしていますが、今回、この場では割愛させて戴きます。依頼があれば小中学校を問わず、講演に出向きます。)

今こそ、日本に本当に必要な教育、英語教育が問われています。私共佐々木インターナショナルアカデミーが1994年以来唱えてきた、「読解、発音を出発点とする、初心者から内容のある英文書籍を読み、英語を通じて世界を理解させ、教養を深め、自己主張の出来る人材を育てる英語教育」について認識戴く大変良い機会だと思います。英語学習を通じた、教養と知識、論理性の訓練が国を超えた意思疎通、交渉能力を育てるのです。

このNovaの会社更生法申請を機会に私共が指摘して置きたい日本社会のもう一つの問題点、安易な公費の乱用と教育、社会的公正の問題です。日本の労働省がかって推し進め、現在も厚生労働省の下で続いている教育給付金制度についても見直しを図る時に来ていると思います。1990年代失業者が増加し、失業保険金財政が悪化したにもかかわらず、安易に英会話教育に失業保険金を財源とする授業料の80%を補填する制度導入が図られました。現在はこの給付率が40%となっていますが、この間多大な無駄使いと詐欺的な行為がまかり通りました。(結果はご存知の通り給与からの失業保険徴収率の引き上げでした。)

この教育給付金制度の一層深刻な弊害、結果(社会的な副作用)は、教育効果を無視し、教育哲学もなくテレビ等による誇大広告で生徒を集め、倒産したパソコン教室のアビバであり、英会話のNovaです。アビバ(2005年1月18日会社更生法申請)も、Nova(2007年10月26日会社更生法申請:負債総額439億円?)も実に派手な誇大広告(特にテレビ広告)で生徒を集め教育訓練給付金制度に頼り、悪用した企業の典型、代表的な2社です。しかし、こういった企業が何れも淘汰されつつあるのは日本社会にとって、又日本の教育にとって実に良いことであると確信しています。又こういった教育機関を長期に渡って結果的に支援してきた生徒達(一般消費者)も、実は大いに問題があると思いますが、現時点ではここでは敢えて触れません。

SIAでは、皆さんもご存知の通り日本の国際的に通用する人材教育に徹した英語教育と、徹底した冗費の節約で地道な教育を続けています。こういった努力の結果、国民的に不平等であり、かつ安易な教育訓練給付金に頼ることなく教育に専念し、営業を続けて参りました。教育訓練給付金制度については、失業保険制度から捻出された給付金制度であり、意図そのものに誤りがあり、又詐欺的な行為を助長していると佐々木インターナショナルアカデミーではかって新聞広告紙面でも批判し、佐々木インターナショナルアカデミーでは制度の利用を一切申請しないと告知して参りました。(この点はSIAの新聞広告でも一度ならず明確に宣言しています。)以上。文責 佐々木 賢治

追伸:小中学校、その他公的な教育機関に置いてもノバ派遣の英語講師が来なくなり、困った状態にある事を耳にしますが、お困りの機関がありましたらSIA迄ご相談下さい。




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