2013.05.02

5月6日迄の経営・企画相談、翻・通訳、語学教育
2013年4月21日号-SIA評論公開版
弱者の戦略と丸い地球を駆け巡る情報の時代


ゴールデンウィークも後半(5月3-6日)を残すだけとなりました。5月1日も一日、技術開発に関する経営相談、企画相談で忙しかったため、遅いメールとなります。5月2日以降も連休中、皆様の相談、依頼に対処するため待機していますので、何かありましたら連絡下さい。

SIA評論2013年4月21日号を参考に公開します。


弱者の戦略と丸い地球を駆け巡る情報の時代
弱者の戦略、捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ
丸い地球を駆け回る情報の時代
情報化社会と減衰する情報の価値
重要性を増す情報分析能力と解析する知性
「貴方はその準備が出来ているか?」
「そういった人材を育てる事が出来るか?」
「そういった人材を活かす組織となっているか?」


SIA評論:弱者の戦略と丸い地球を駆け巡る情報の時代(公開版) 2013年4月21日

人の耳目を集める見出しや、発言には私は懐疑的であり、SIA評論で取り上げる事を好まないし、又基本的に取り上げないのが方針である。理由は二つある。第一にそういった見出し、発言には如何わしさが付きまとい、信頼に値しない事。第二は多くのメディアや人々がその派手さに幻惑され、注意を向ける中、違った視点から将来を予見するための問題を取り上げ分析するのが我々の任務、社会貢献と考えているからである。

こういった基本方針に一見反するが、北朝鮮の2013年3月末以降の発言、対応を取り上げる。その理由は以前より北朝鮮問題を何度と無く取り上げ、既に60年を超える歴史を持つ中国人民共和国、北朝鮮両国の非民主的、軍事中心主義、共産党独裁体制の弊害を取り上げて来た延長線上にある問題であるからである。

北朝鮮が3月30日「北南関係は戦時状況に入った。すべての問題は、戦時に準じて処理される」と特別声明を出したと報じられてから既に3週間が過ぎた。この間北朝鮮政府によって世界に向け繰り返し発信された内容は、「幼子が駄々をこねる様な発言」であ。この北朝鮮の現状を一言で言えば、既に何度も指摘しているが「三代目の幼子がダダを捏ね、国を滅亡に導く危ない火遊びをしているが、その国内では吾身可愛さに誰も諫言する人がいない」といった亡国の事態である。北朝鮮はこれまで短い歴史の中で何度と無く類似した状況を作り上げ、同様な発言を繰り返して来た。私は、長年こういった軍国主義、独裁国家の持つ危険性を繰り返し指摘しているので、今更この事を事改めて言う必要は無く、別の視点から問題を整理する。

視点を変えれば、「大国米国を相手に弱小国、北朝鮮が堂々の議論と戦略を重ねている」事になる。第二次世界大戦前の日本や、米ソ冷戦時代のソ連が現在の北朝鮮と同様な発言を発していれば、直ちに戦争状態となったと思われる。1950、60年代に中国は現在の北朝鮮と類似した発言を行なっていたが、今の北朝鮮同様取るに足らない存在であったので、米国を初めとする西側諸国は比較的寛容であった。

弱者の戦略、捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ
現在の北朝鮮の常軌を逸した発言が通用するのも北朝鮮の弱さの故である。考えて見れば、これも「立派な弱者の戦略」である。弱者の戦略の一つを一言で纏めると「捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」となる。しかし、北朝鮮指導部、金正恩氏や現体制幹部に「捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」といった捨て身の覚悟、心が在るかとなると実に心許ない。

米国初め、周辺諸国の一見すると寛容、優柔不断な対応は一体何を意味するのか、実に不気味ではある。今後ますます増長する北朝鮮の対応を見据え、世界世論、周辺環境の熟成を待って一気呵成に体制転覆を図るのか? これもまた、見方によっては強者の寛容、弱者戦略である。こういった危険性を予見するだけの知性が北朝鮮の指導部に連なる人々に無いはずは無い。この事を指摘諫言する愛国心ある人物が現在の北朝鮮体制幹部にいないのか、そういった人物が駄々をこねる幼子のトップに迎合しつつ時期を待つしかないのか? 何れにしろ現在の北朝鮮の悲劇がそこにある。彼らには「弱者の戦略は生き延びる事であり、捨てれば浮かぶ瀬が無い」のである。

丸い地球を駆け巡る情報の時代
上記一文を書き直していた最中、大国米国のお膝元、ボストンで現地時間4月15日月曜日午後2時50分頃、ボストンマラソンゴール付近で爆発があり、3名が死亡し、176名が負傷したと伝えられた。以下、混乱を避けるため時間表示は全て日本時間とする。因みに日本時間4月16日午前3時50分頃の事である。日本と米国東部ボストンとは13時間の時差があり、日本時間が13時間先行する形になる。地球は丸いと実感する。

日本時間4月19日午後6時19分頃、私はニューヨークタイムズ、ワシントンポストの「犯人1人死亡、残る1人は逃走中」との速報を入手した。その情報を吟味し、午後6時40分「ボストンマラソンテロ事件、容疑者の一人死亡、1人逃走中との十数分前の米国マスメディア情報」として読者に速報を飛ばした。

更に20日午前10時調度、ニューヨークタイムズ、ワシントンポスト両紙より、逃走中の容疑者逮捕の報が届いた。両速報共に、米国現地紙が速報を発して数分後には丸い地球の裏側にある日本に届く時代。しかし、二人の容疑者は、ロシアの弾圧を逃れ米国に新天地を求めた可能性の高いイスラム教徒のチェチェン出身の兄弟であり、彼らなりの弱者の選択であったとすると実に複雑な思いに駆られる。米国社会が今後どう今回の事件を咀嚼して行くか見つめたい。

情報化社会と減衰する情報の価値
情報に関して言えば、この四半世紀の間に劇的な変化を遂げた。2013年4月21日現在の状況は、160年前のペリー来航時(1853年)、99年前の第一次世界大戦勃発時(1914年)、74年前の第二次世界大戦勃発時(1939年)、24年前のベルリンの壁崩壊時(1989年)とは様変わりしている。誰でもが言論の自由を謳歌し保障され、マスメディアが健全な発達を遂げている国々の現地速報を数分で入手できる時代に我々は今いる。マスメディアの健全な発達は相対的な概念であるので、日本のマスコミの質、発達状況についての評価は控える。

グローバル社会、情報化社会と言われて久しい。しかし情報化社会とは情報があふれる社会であり、情報そのものの価値は限りなく減衰する社会、時代である。情報を一部の人々が独占し、情報に希少性があった時代には希少価値があり、その情報を独占し入手した人は莫大な富を手にする事も可能であった。イギリスの富豪、ロスチャイルドの成功は情報収集とその分析、活用にあった。18世紀、19世紀情報で莫大な富を得た。解り易い有名な一例を挙げれば「ワーテルローの戦い」である。ベルギーのワーテルローで1815年6月18日に英蘭連合軍とプロイセン軍が、フランス皇帝ナポレオン一世率いるフランス軍を破った戦いである。この戦いの情報を素早く入手したロスチャイルドは「ナポレオン敗退の情報を得て、英国債を空売りし暴落させ、その後一気に買占め巨額の利益を得た」と伝えられる。この取引で英国金融界での地位を不動にした事は有名な話である。事前の情報網、情報伝達網整備、情報活用戦略、戦術の勝利である。

しかし、こういった公開の場で行われた重要事件情報の独占は、200年前の「ワーテルローの戦いの勝敗情報の独占」は、現代ではもはや不可能である。200年前、こういった現地では公知の情報を素早く伝達入手するためには、各組織が自らの情報伝達網を事前に準備するしかなかった。しかし現在では電信、電話、ラジオ、テレビ、インターネットの発達により通信速度が速くなっただけではなく、商業的に情報を提供するマスメディアが発達し、光速の通信手段を使って無料又は低価格で情報を絶えず伝えるからである。

重要性を増す情報分析能力と解析する知性
この結果、情報は限りなく安く、ほとんど無料同然となった。このため、「グローバル社会、情報化社会とはどういった社会であるか」と問われれば、「情報に関して言えば“情報そのものの価値自体”は減衰し、“情報収集・分析能力と解析する語学力、知性”がますます重要、必要となる社会、時代である」と答えている。更に重要なのはその情報を活かし、実行に移すことの出来る信頼できる人間関係の確立である。

そこで問われるのは、「貴方はその準備が出来ているか?」
各国、各企業、組織、教育機関に問われるの「そういった人材を育てる事が出来るか?」、「そういった人材を活かす組織となっているか?」である。

(SIA評論は電子メール配信評論誌、年間購読費6,300円 編集発行人SIA佐々木賢治)


国際ビジネス、語学のプロフェッショナルハウス
(株)SIA:佐々木インターナショナルアカデミー
代表 佐々木 賢治 090-6464-5526(Softbank)
〒450-0002 名古屋市中村区名駅3丁目23-6
第二千福ビル2階
052-566-5526, skype: sia_inc
Fax 052-566-5528
siabest@sun-inet.or.jp ブログ http://sia-nagoya.com/
http://www.sasaki-international-academy.com/
★ 語学教育、翻訳・通訳、国際ビジネスはSIA



PHOTO

RSS2.0

login

a-blog cms