2014.08.20

SIAの佐々木です。御盆を挟みアジア某国向け現地語訳の依頼。時期が時期のため担当者が捕まらず大変な思いをしましたが納品完了。手間を考えるとマイナー現地語訳は採算割れですが、プロの職業倫理と心得、世界各国あらゆる言語に対応します。


お盆も過ぎ、今年は多雨と日照不足で夏も終わりそうです。気象庁が冷夏予測を平年並みと変更したのが6月25日。その直後、ある気象予報士に「気象庁の変更は間違い」と指摘しましたが、何分にもお天気の事、公開情報としては流しませんでした。お天気の事、誰にも解らぬ(?)未来の事とは言え、誤報を危惧したからでもあります。

そのお詫びに千百年前の一句(藤原 敏行 生年不詳 - 907年)を引用します。時代を超える新鮮な響きに驚かされます。

秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる

さて、現世に戻り生臭い話です。本日のSIA評論を公開します。今回はマスメディアを取り上げていますが、公開版は少なくとも三桁の内外のマスメディア関係者にも送付しています。

メール配信のSIA評論講読(年会費6,480円)ご希望の方は連絡下さい。月刊誌等SIA評論記事引用、掲載をご希望の場合はSIA佐々木まで連絡下さい。


2014年8月8日日経新聞朝刊8頁目全国版広告右側

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140819-SIA評論:誤報と言論の自由「朝日の捏造誤報と産経の韓国大統領密会報道」 2014年8月19日

朝日新聞が8月5,6日の紙面で従軍慰安婦について記事を書いた。一部のメディアは朝日が誤報を認めたと報道している。しかし、朝日の8月5日の一面ではタイトルが「慰安婦問題の本質 直視を」となっている。

これでは何が言いたいのか解らない。しかも筆者とその肩書きは「編集担当 杉浦 信之」と書かれているだけである。誤報の謝罪であれば、社長、少なくとも本社編集局長自らがその職務上の立場、職責を示し実名で記事を書くべきである。

しかも、その内容である。何を言いたいのかさっぱり解らない。更に他紙はどうであったかと、産経新聞、読売新聞について長々と書いている。毎日についても少し言及がある。地元の中日新聞については言及が無い。これは中日が格下と見られているからなのか、ほぼ朝日と同一の報道姿勢であったからなのかは不明である。どうもこの部分の記事を見ると、ほぼ同一報道をした新聞社については出来るだけ触れず、朝日の報道を批判した紙面づくりを行なった各紙については詳細に書いている。その目的は、朝日と同じ報道をして来た事を証明する事にある様である。まさに「針小棒大」、朝鮮問題であるが中国の故事を想起させる。

朝日新聞が20年、30年に亘り(実際は三十数年という長期間)「捏造された済州島での日本陸軍による慰安婦狩り」を実話として報道して来た事実を考えると、今回の一文はただ長いばかりで理解に苦しむ内容である。しかも、「現地済州島でそういった事実は無いとの済州島住民の証言や、地元紙、韓国研究者の発表」からも信じられない年月、少なくとも25年は経過し、そういった発言、報道、論文すら忘却の彼方に消えてしまって久しい今になっての報道である。(1989年8月14日付済州新聞がそういった事実は無く捏造と報道)

この一文の中は、日頃は「社会の木鐸」と称し世人に正義、平和、社会的責任を説く言論人の筆による物とは思えない内容である。思わず日頃の朝日の社是を思い出したが、ここでは引用しない。

比較的素直に自らの誤報を認めたとされる部分、「挺身隊の誤報問題」について引用すると今回の「編集担当 杉浦 信之」の一文の性格が瞬時にして解る。その部分の見出しは次のようになっている。
「「挺身隊」との混同 当時は研究が乏しく同一視」。(文字の大きさは朝日新聞本紙の文字のほぼ比率通りである。) これを見ると、当時は研究が乏しく間違って当然で、一切我々に責任は無いと言っているのも同然である。ここで私見を述べれば「マスメディアの無知はプロ意識の欠如、罪悪であり、職業倫理に反する」と私は思う。この混同、誤報により朝鮮半島出身の挺身隊関係者が如何に苦しんだか? 身に覚えの無い批判で離縁された女性も多く、又自殺した女性もいると聞く。こういった女性に対する賠償責任、賠償義務が私は朝日にあると思う。

これを危惧するためか、実に言い訳よりも自己正当化が先にたっている。元々言葉としては戦前戦後を通じて従軍慰安婦といった言葉は歴史上存在しなかった事は、あれほど好戦的であった戦前の朝日新聞、毎日新聞紙面を見ても明らかであると私は思っている。なぜなら私の知る限りそういった表現が記載されていた事実は無いからである。当然朝日の関係者はこの事を知っている。又、挺身隊は戦前新聞紙上でもよく報道されており、これ又慰安婦でない事は公知の事実である。戦前はもとより1958年3月31日迄日本でも公娼制度があり、そこで商業的、合法的に性的サービスが提供されていたのは歴史的事実である。現在の中華人民共和国、朝鮮半島、その他アジア諸国、ヨーロッパも含め公娼制度は存在していた。現在でもアメリカ、ヨーロッパの一部でも公娼制度があり、更に公娼制度を近年復活させたニュージーランドを初めとして復活を検討している国々がある。

公娼制度、そこで働く女性と挺身隊として戦時中生産活動に従事した人々は明らかに違う。更に言えば、挺身隊と同様な婦女子による生産活動の維持を目的とした制度は第二次世界大戦参戦国全てが何らかの形で制度化し、維持して来たものである。そもそもこの両表現を取り違える等、言葉を大事にする人々においては本来有り得ない事であると私は考えている。「思い込みと恣意的な解釈、引用によって齎された必然的な誤報、捏造」であると指摘されても抗弁する手立てが無いと自覚し、「裏返しの強弁」により今回の記事を仕上げざるを得なかったと私は文章を見て理解している。

私は、「編集担当 杉浦 信之」氏に実は同情している。この一文を彼が自らの意志で書いたか、又全てを独自の判断で書き上げたかは、私の知る事ではない。また、彼が編集部の中でどういう立場にある人物であるかも敢えて情報を取得しようとは思わない。ただ、彼の将来を予見する事は出来る。彼のサラリーマンとしての役割はこれで終わり、明日が無い事は明白である。その役割を彼が敢えて担ったか、あるいは無言の将来のある約束との取引で担わされたかは、私には不明であるが、予測は出来る。しかし、予測で文章を書く愚は避けるのが私のプロ意識である。ただ歴史の審判はやがて下るはずであり、今回の記事は私の判断が正しければ、次なる展開が待ち受けている。

さて、朝日新聞と言えば、次に出て来るのが産経新聞である。ほぼ時を同じくして産経新聞ソウル支局長に対する出国禁止処置が取られ、韓国検察当局の事情聴取要請があったと報じられた。既に昨日8月18日事情聴取が行なわれた。この事件は二重の意味で不可思議、かつある意味で面白い事件である。

産経の韓国大統領密会報道:産経新聞の当該記事をネットで確認できるので末尾に紹介する。それをお読み戴くとして、なぜ、「二重の意味で不可思議、かつある意味で面白い事件」かについて箇条書きをする。その前に、予備知識として、三ヵ月半前の2014年5月6日SIA評論を一部引用するのでお読み戴きたい。

140506-SIA評論:韓国フェリー沈没事故に見るマスコミの敗北とウイキペディア
**************一部引用
情報戦争、情報化時代といわれて久しい現代2014年4月16日午前8時50分前後に、近海で起こった事故である。しかしその後の情報は実に乱れ、マスメディア情報も次々と変化し、5月6日現在に至っている。どういった原因、環境で事故が発生し、行方不明者の捜索がどの様に進展するかも含めて今ひとつ不明である。

この間、フェリーの生き残った機関士を含め操船関係船員は全員逮捕され、朴大統領はその船長を殺人者(正確にはその行為は殺人に等しい?)と公の場で糾弾した。*********

上記を記憶の上で「二重の意味で不可思議、かつある意味で面白い事件」である理由をご覧戴きたい。

1.産経引用元の朝鮮日報への対応
2.この件に関する、日本のマスコミ報道姿勢
3.韓国市民団体の告発が事情聴取の原因と伝えられるが、日本メディアがその団体の調査報道を行なうか
4.悲劇を生んだ4月16日の韓国フェリー沈没海難事故。フェリーの生き残った機関士を含め操船関係船員は全員逮捕させ、船長を殺人者(正確にはその行為は殺人に等しい?)と公の場で糾弾した朴大統領が当日7時間、所在不明。ここまでは公知の事実。問題になるとすれば「男性と密会との報道」の部分。


上記4項目目は慎重な分析が必要である。先ず私が持つ一般的知識、情報を述べる。「こういった内容を海外で独自取材するだけの取材網、取材能力」は日本メディアには一般的には無い(注)。朝鮮日報からの引用だけが原因とすれば、「韓国市民団体」とは何者であるか? 産経の韓国内での影響力は朝鮮日報に比すれば無に等しい。朝鮮日報を告発せず産経をなぜ告発したか?朝鮮日報記事、その引用外の内部情報があるとすると、日本メディアだけに意図的に漏洩した人物が当然いる。男性との密会説は、余程の根拠が無ければ余りに荒唐無稽で現実味に乏しく有能な経験ある新聞記者は飛びつかない。では、なぜ検察が動いたのか?

この問題は想像以上に根が深く、米国のウオーターゲート事件に匹敵する問題となる可能性がある。韓流ドラマでも描けない世界である。時間が許せば、その分析を今後お伝えしたい。(140819-佐々木 賢治筆)

(注): 8月5,6日の朝日の饒舌な弁明の中にも繰り消し正当化の根拠として、従軍慰安婦捏造関連記事の多くを「韓国メディアよりも先に報道した」と述べている。杉浦氏の弁明意図とは裏腹にこの事実は情報提供者と朝日新聞関係者との微妙な関係を自ら語っている。「聞くに語らず語るに落ちる」とはこの事である。

言論の自由、割れる韓国 引用元の朝鮮日報は「口頭注意」のみ http://sankei.jp.msn.com/world/topics/world-19498-t1.htm

参考SIA評論2013年1月7日「慰安婦問題雑感」、5月14,24日「橋下氏慰安婦発言とマスコミ」、「追記」


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名古屋商工会議所 那古野2011年4月号

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