2010.07.27

酷暑となりましたが、体調に留意下さい。SIAの佐々木です。本日7月25日も通常通り午後5時まで国際ビジネスのコンビニSIAの業務を行なっています。各国言語翻訳、通訳、語学教育、国際ビジネスのご相談がありました連絡下さい。訪問を希望される方は予約のお電話をお願いします。本日も英語、韓国語、ポルトガル語、中国語、ドイツ語関係案件については担当者が作業していますので、迅速な対応が可能です。

このメールを受信されている方々にはワールドカップサッカー中SIA情報を公開し、カメルーン戦、オランダ戦、デンマーク戦、パラグアイ戦について事前分析をお送りしましたが、その記事の一部を引用し一文を纏めましたので、参考に送ります。7月12日までの一ヶ月の日本社会を纏めた物です。ただし、日頃SIA情報をご覧になっていない方々にはよくある後知恵講釈と思われるかも知れませんので、他の方々への転送はご容赦願います。

以下一文、一読を前に涼しい写真をご覧下さい。



100722-SIA評論「敵を知り己を知れば百戦危うからず」:明日の日本を語る三大話、ワールドカップサッカー、参議院選挙、消費税
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7月11日の参議院選挙、消費税議論が沸騰した。管総理の発言が切っ掛けである。菅総理の消費税を巡る一連の発言の所為か管総理の支持率は急低下した。しかし大方の国民は6月14日の日本チームのカメルーン戦勝利により、6月30日未明パラグアイに敗北するまで、6月24日公示された参議院選挙よりもワールドカップサッカーに熱狂した。少なくともマスコミを通じてみる日本社会は、暑い夏生ぬるいビールを飲むような参議院選挙であった。この一ヶ月の日本社会を明日の日本を語る三大話として纏めてみたい。

ワールドカップサッカー
日本の南アフリカワールドカップ第一戦直前までの、日本サッカー代表チームへの評価は惨憺たるものであった。岡田監督への批判、辞任論が横行した。これが選挙であったなら、日本サッカーチーム、岡田監督は落選間違いなし。異常な報道、雰囲気であった。このため、試合当日の6月14日午後9時半、私は「ワールドカップサッカー:本日日本対カメルーン試合開始前に一言」と題して以下の意見を私の会員に送った。この後も第二戦オランダ戦、第三戦デンマーク戦、更には第四戦の八強を掛けたパラグアイ戦迄毎回試合前に試合予測を送った、何れも彼我の戦力、置かれている立場を冷静に分析すると比較的容易に分析が可能であったからであり、当方の分析に対してそれなりの自信があったからである。この読者の中にも私の電子メール通信の愛読者がいると思うが、事実よく当たったと評価を戴いたが、サッカーについては素人である。ただ、かって孫子を少し学び、ゲーム理論的発想を活用したに過ぎない。

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ワールドカップサッカー:本日日本対カメルーン試合開始前に一言

「己を知り、敵を知れば百戦危うからず」とは孫子の有名な言葉。

実際のスポーツでは己を知り、敵を知っていても勝つ事は出来ない事が多い。しかし、負ける確率を実力差による確率よりも小さくし、勝つ確率、引き分ける確率をより高める事は出来る。

これまでのワールドカップに比較し、日本は選手も監督も、マスコミも自らのチームの実力、相手の実力をより客観的に掴んでいる事が強みである。カメルーンは必ず勝ちを目指す。ここに日本の唯一の勝機がある。こう自覚すると意外に実力差以上の試合展開となると私は見ている。

先回のワールドカップドイツ大会は、日本チームに対する自己過信、過大評価による必然の敗北、前半体力の無駄使い、頑張りすぎのために生れた後半の失速。そこを狙ったオーストラリアの名将の戦術。必然の敗北。 2010年6月14日9時35分発。
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翌日6月15日の日本のマスメディア報道。それを通じてみる日本国民の熱狂。日本社会の豹変、その熱狂振りの因果関係はマスメディア報道に原因があるのか、国民の変わり身の早さにあるのか、その因果は問わないが、本田の足の一振りで全てが変わった事になる。

これと同様な激変が、日本の政界でもあった。鳩山首相、民主党小沢幹事長同時辞任と菅首相誕生直前直後の世論調査である。谷底から青空へ駆け上がる神話世界の龍を思わせる激変である。しかしワールドカップサッカー日本チームはカメルーン戦前後で監督も選手も人は代わっていない、ただ勝利があった。鳩山首相辞任、菅首相誕生。長年の民主党の顔、鳩山氏と菅氏、同じ顔ぶれ。急上昇する民主党支持率。

世論調査結果の数字が実態を掴んでいるのか、はたまたその数字が何を表しているのか? 驚くいと間もなく、テレビ、新聞メディアからの言葉の洪水に曝(サラ)される日本国民。何か可笑しい。これ程の急変が一夜にして生れるものなのか? かって「会議は踊る」と言う言葉が一世を風靡したが、「世論に踊る日本社会」とも言うべき社会現象が近年日本で発生している。「会議は踊る」と言う言葉は、1931年のドイツ映画Der Kongreß tanzt(会議は踊る)で有名になった言葉で、ナポレオン・ボナパルト失脚後の1814年-1815年のヨーロッパ列強による国際会議(各国利害の衝突により時間を浪費するばかりで「会議は踊る、されど進まず」と評されたといわれる)を擬した映画から生れている。あるいは日本への警告として、今の日本に与えられた言葉かもしれないと思わず考えさせられる。誰にも掴み難い国民世論の大勢を数値化し解り易くする為に生れたはずの世論調査である。その数値がこれ程日を経ずして乱高下するとなると、国民が虚け者(ウツケ者)であるのか、巧妙な手立てによって踊らされているのか? 世論調査を行なっているのは大方の場合はマスコミであるが、世論調査を行なう機関の能力の問題であるのか? 考えてみれば、世論調査の数字は実に便利な物である。その数値はマスメディアを通じて流布され、マスメディアを縛り、国民を縛り、国民が語った物とされる数値である。誰もその責任を問われる事は無い。

参議院選挙
日本の政治家が一過性の世論調査に踊った参議院選挙。6月24日公示された参議院選挙の争点はいつしか消費税になったが、日本国民は6月25日早朝のワールドカップサッカー日本対デンマーク戦にすっかり関心が奪われていた。勿論私もその一人である。やがて参議院選挙に日本国民の関心が向かったのは、6月29日深夜の日本対パラグアイ戦での敗北後のことである。しかし私にとっては、今回のワールドカップサッカーを通じて孫子の言葉「己を知り、敵を知れば百戦危うからず」を改めて学ぶ良い機会であった。

さて、争点となった消費税。所得税、消費税もやはり日本の社会、未来のためである。大方の人は自分の収入や資産から税金を取られるのを喜ばないであろう。このため、世論調査を行なえば必ず増税反対、減税賛成となる。ただし他人の税金は別である。このため税を使う人(政治家と役人)、使われる税から恩恵を受ける人達は別である。国家予算の執行に当たり談合を繰り返す業界団体、企業、人々は国が破綻するまでは国家予算の拡大を歓迎する。必然的に税には国民の利害が絡む。このため税制改革には必ず賛否両論が生まれ、改革により損害を被る人は声高に反対を叫ぶのが常で、恩恵を受ける人々は公の場では沈黙を守る傾向にある。しかし、これほどの国家財政赤字、借金大国となった日本がこのままで良いと思っている人はいない。その中で生れた消費税議論である。

消費税誕生の歴史と経済学的発想
消費税の実質的生みの親、英国生れの経済学者ニコラス・カルダー(1908年-1986年)が消費税導入を提唱した理由は?「税の公平」と?「経済成長」である。ニコラス・カルダーが最初に消費税導入を提唱した1950年代、誰も聞く耳を持たなかった。しかし彼が提唱、論証した消費税導入はやがて時代を変え、税制を変え各国に浸透していった。そのニコラス・カルダーの主張は以下の通りである。

税の公平
消費税導入により、それまで課税されてこなかったキャピタルゲイン(投資収益)、相続財産への課税が結果的に可能となり、所得税中心の税制の持つ不平等の是正。日本を例に採ると解り易い。特に日本の高度経済成長時代、不動産投資や株式投資によるキャピタルゲインは売却するまで課税される事は無かったし、今も無い。解り易い事例は堤義明氏の国土計画。父親より膨大な資産を相続し、年々土地の騰貴により多額の資産を積み上げたにも関わらず、実質的に国土計画ほとんど法人税を払わず、又堤氏も年々の実質所得と比較すると微々たる所得税しか払っていなかったとされる。その他、ブラックマーケットからの収入、脱税を初め、現在の所得税制度では徴収できない所得税を消費段階で徴収する。投資収入(収益)、相続収入を含めたこういった現行の所得税では徴収できない税が膨大と言われている。

経済成長
国が徴収する税額が同じであるとすると、所得税が減額され、消費段階で税金が徴収されるため、消費が減り、貯蓄が増える。このため国全体で見ると消費が抑制され、貯蓄が増加し、投資が増大する。投資への誘導効果。消費税導入により消費を減らし、貯蓄を増やし、経済成長を促進する。

以上が、経済学者ニコラス・カルダーの政策意図である。この考え方は理論的に検証すると大変正しい考え方である。このため消費過多、あるいは税制では把握できないブラックマーケットの比率が高い米国や英国、イタリアといった諸国では大変有効な政策であり、今や世界各国に浸透するに至っている。現在の日本、世界一の財政赤字を抱える借金大国である。国が財政支出を拡大し、景気刺激策を散々行なった結果の経済低成長と赤字拡大である。経済成長と国家財政健全化の観点から一部で消費税増税の議論が生れる背景である。これまで多くの日本人が行なって来た消費税の逆累進性議論とは異なる税の公平、経済成長戦略がニコラス・カルダーの政策意図にはあったのであり、その故に欧米先進国に浸透したのである。

さて、この議論に盲点は無いのか? 次回の検証をお楽しみに。(SIA佐々木筆)
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佐々木 賢治
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